徹が就職活動のために初めて濃紺のスーツを仕立てたのは、昭和41年の年であった。
母親はずっと家政婦の仕事をしており、泊まりがけの日も少なくなかった。
東京・千代田区麹町の呉服屋にも派遣され、住み込みで働いていた。
そのなある日、40代前半を思われる御婦人が世田谷区用賀の借家に訪ねてきた。
「お母さんに頼まれて来ました。よろしいでしょうか?」
「頼まれた?何を?」徹は若い女性に全く縁がなかったが、この中年女性に気が許せそうに思われた。
「背広の寸法を測りに」相手は玄関のガラスドの戸口で逡巡しているような素振りに映じた。
「背広?」
「そうです。時間はそれほどかかりません。よろしいでしょうか?」
徹は一歩退くようにして「どうぞ」と相手を招き入れた。
借家は6畳と4畳半に土間の台所の間取り。
10月半ばであり、家は午後4時を回りすでに薄暗かった。
羞じらう気持ちで裸電球を徹が灯した。
家の前の道は多摩丘陵に続く林の道であり、300㍍ほど行くと尼寺があった。
徹は訪れて来て、沢田美知恵と名乗る女性が尼さんの一人にどこか似ているように思った。
「どのような事情があって、尼になったのだろうか?」文学青年であった徹は想像を膨らませた。
沢田と徹の母親の関係は分からない。
沢田は初めに徹のウエストを計った。
「ウエスト68cm?細いのですね」沢田が驚きの声を上げた。
その声は、ハスキーでしかも甘く耳障りが良く徹が憧れていた北玲子に似ていた。
徹は声に敏感な質であった。
悪性の母親の声に子どもの頃からウンザリしていた。
そして、中学時代から合唱団に所属していた姉の声に魅力を感じていた。
声変わりする前の徹の声は、姉の声に似ていたのである。
だが、その声が段々、母親の声に似てきたのだ。
「沢田さん、素敵な声をしているんですね」徹は言ってしまってから耳を赤くした。
「私の声ですか?!」沢田は心外な表情をした。
徹は気まずい気持ちとなっていた。
話題を変えねばと気持ちが焦った。
「徹さんとお呼びしていいでしょうか?」
「はい」段々、沢田に主導権を握られるような予感がしてきた。
「お母さんに似て、素敵ですよ。女の人に持てるでしょう」
沢田は跪いた姿勢で徹の顔を仰視した。
「それが、全然なんです。なぜでしょうね」徹は自分の心を他人に表出したことをむしろ怪しんだ。
「お好みの望みが高いのですね」沢田は弾みであろうか、ズボンの上から徹のペニスの脇側に指を滑らすようにした。
性体験のない徹であったが、快感が走った。
沢田は何食わぬ顔で、股下の寸法を再度計った。
そして、今度は膨らみかけた徹のペニスに頬を寄せていた。
「若いんですね。いいですよ。遠慮しなくて・・・」
母親はずっと家政婦の仕事をしており、泊まりがけの日も少なくなかった。
東京・千代田区麹町の呉服屋にも派遣され、住み込みで働いていた。
そのなある日、40代前半を思われる御婦人が世田谷区用賀の借家に訪ねてきた。
「お母さんに頼まれて来ました。よろしいでしょうか?」
「頼まれた?何を?」徹は若い女性に全く縁がなかったが、この中年女性に気が許せそうに思われた。
「背広の寸法を測りに」相手は玄関のガラスドの戸口で逡巡しているような素振りに映じた。
「背広?」
「そうです。時間はそれほどかかりません。よろしいでしょうか?」
徹は一歩退くようにして「どうぞ」と相手を招き入れた。
借家は6畳と4畳半に土間の台所の間取り。
10月半ばであり、家は午後4時を回りすでに薄暗かった。
羞じらう気持ちで裸電球を徹が灯した。
家の前の道は多摩丘陵に続く林の道であり、300㍍ほど行くと尼寺があった。
徹は訪れて来て、沢田美知恵と名乗る女性が尼さんの一人にどこか似ているように思った。
「どのような事情があって、尼になったのだろうか?」文学青年であった徹は想像を膨らませた。
沢田と徹の母親の関係は分からない。
沢田は初めに徹のウエストを計った。
「ウエスト68cm?細いのですね」沢田が驚きの声を上げた。
その声は、ハスキーでしかも甘く耳障りが良く徹が憧れていた北玲子に似ていた。
徹は声に敏感な質であった。
悪性の母親の声に子どもの頃からウンザリしていた。
そして、中学時代から合唱団に所属していた姉の声に魅力を感じていた。
声変わりする前の徹の声は、姉の声に似ていたのである。
だが、その声が段々、母親の声に似てきたのだ。
「沢田さん、素敵な声をしているんですね」徹は言ってしまってから耳を赤くした。
「私の声ですか?!」沢田は心外な表情をした。
徹は気まずい気持ちとなっていた。
話題を変えねばと気持ちが焦った。
「徹さんとお呼びしていいでしょうか?」
「はい」段々、沢田に主導権を握られるような予感がしてきた。
「お母さんに似て、素敵ですよ。女の人に持てるでしょう」
沢田は跪いた姿勢で徹の顔を仰視した。
「それが、全然なんです。なぜでしょうね」徹は自分の心を他人に表出したことをむしろ怪しんだ。
「お好みの望みが高いのですね」沢田は弾みであろうか、ズボンの上から徹のペニスの脇側に指を滑らすようにした。
性体験のない徹であったが、快感が走った。
沢田は何食わぬ顔で、股下の寸法を再度計った。
そして、今度は膨らみかけた徹のペニスに頬を寄せていた。
「若いんですね。いいですよ。遠慮しなくて・・・」