【特集】続くコメ騒動 農家の現状は?
今後の農業の進むべき道は?減反政策と戦い続けてきた男性を追う
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ABS秋田放送
日本人の主食「コメ」についての特集です。
かつて国内・そして秋田の田んぼで行われた「青刈り」。 生産調整・減反を進めるため、まだ青いうちに稲が刈り取られていました。
2018年にコメの過剰生産を抑制するための減反政策は廃止されましたが、その後も転作に補助金を出すことで、実質的なコメの生産調整は継続されてきました。
コメの価格が高止まりし、コメ離れも懸念される中、国は、備蓄米の放出を決めたほか、生産調整から増産に政策転換する方針です。
コメ作りの現場では何が起きているのか。 そして、向かうべき道とは。
減反政策と半世紀以上戦い続けてきた男性の取り組みを追いました。
■高値によるコメ離れの懸念
涌井徹さん 「全外食事業者は輸入米を入れる方向で動いています」 「で、消費者は高いからコメ離れ、めん・パンの方に移っていきます。
いまの米価が今年の秋も続いていけばもう(輸入米が)オープンにどんどん入ってくる」 毎年この時期、農業従事者などを対象に開かれている研修会であいさつした、大潟村の農家・涌井徹さん。 コメの可能性を追求し続ける開拓者の一人です。
55年前に入植した大潟村で、コメの生産から加工・販売までを手がける農業法人を立ち上げたほか、いまはパックご飯の製造に力をいれています。 涌井さん 「日本の農家にとっても不幸、消費者にとっても不幸」 「いま現在はみなさんが迷惑する、困る米価である。誰も得をしていない米価だ」 高騰するコメの価格。
あきたこまち60キロの取引価格は、近年、1万3000円から1万5000円台で推移していたものの、去年の秋から急激に値を上げ、12月末時点の速報値では、前の年の同じ時期と比べて1万円あまり高い、約2万7000円でした。 コメの価格は高止まりしていて、農業の現場に大きな波紋を広げています。
JA秋田中央会 小松忠彦 会長 「いまご飯茶碗1杯のお米の価格が40~50円程度と試算されますが、この価格が果たして高いのかどうかを考えてみていただきたいのです」 高値による「コメ離れ」を懸念したJAは、生産者が置かれた状況を理解して、県産米を買ってほしいと呼びかけています。 JA秋田中央会 小松忠彦 会長 「高騰して高い。
買い控えという状況にありますけども、お互いに苦しい中でも支え合うという気持ちを持っていただいて、食べていただいて(農家を)支えていくんだ」 国による備蓄米の放出は、一時的な対症療法に過ぎないと考えている、大潟村の涌井さん。
価格高騰の根本的な原因は、国が長年コメの生産を抑制してきたことによる生産力の低下だと指摘します。
涌井さん 「55年間コメの生産を抑制することが続いてきた」
「生産の現場が、親子代々、コメを作るな、コメを作ってはいけない、コメを作ればコメが安くなる、農業が継続できないと言ってきた。
しかし、55年間、減反(生産調整)したけども、結局、農業が継続できなくなったわけね」 「需要と供給のバランスをとろうとした政策に、いま限界がきた」
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