不登校でも学び継続 誰 一 人 取り残されない

2025年02月19日 09時43分14秒 | 社会・文化・政治・経済

学びの保障に向けた不登校対策
令和5年3月

大臣メッセージ
 このため、教育行政の責任者として、私は、
 1 不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思った時に学べる環境を整える
 2 心の小さなSOSを見逃さず、「チーム学校」で支援する
 3 学校の風土の「見える化」を通して、学校を「みんなが安心して学べる」場所にする
ことにより、誰一人取り残されない学びの保障を社会全体で実現していきます。
 この考えの下、この度、このCOCOLOプランをとりまとめました。
 文部科学省では、支援が必要な子供たちが学びにつながれるようにすることと、全ての学校を誰もが安心して学べる場に変えることを、今すぐできる取組から速やかに実行していきます。必要な支援は子供たち一人一人の状況によって異なるため、こども家庭庁や地方公共団体、学校等とも連携して、一人一人に応じた多様な支援を行っていきます。
 不登校となっても学びを継続し社会で活躍できるよう、私自身が先頭に立ち、子供の学びに携わる全ての関係者とともに、取り組んでまいります。
令和5年3月 文部科学大臣 永岡 桂子


 今回のプランを実現するためには、行政だけでなく、学校、地域社会、各ご家庭、NPO、フリースクール関係者等が、相互に理解や連携をしながら、子供たちのためにそれぞれの持ち場で取組を進めることが必要です。
 小・中・高等学校の不登校の児童生徒が急増し約30万人となりました。
 その背景には、長引く新型コロナウイルスの影響等が指摘されますが、より根底には、子供たち一人一人の人格の完成や社会的自立を目指すための、学校や学びの在り方が問われているのだと考えます。
 また、90日以上の不登校であるにもかかわらず、学校内外の専門機関等で相談・指導等を受けていない小・中学生が4.6万人に上ります。
 私は、不登校により学びにアクセスできない子供たちをゼロにすることを目指します。そして、子供たちに、「大丈夫」と思っていただけるよう、徹底的に寄り添っていきます。

NPO、
フリースクール等
保護者の会
教育委員会等 教育支援センター
校内教育支援センター
(スペシャルサポートルーム等)
1人 1台端末の活用
「チーム学校」で支援つながりのイメージ 学校の風土の「見える化」
授業配信
分教室型も含めて設置促進
不登校の児童生徒、保護者の支援の拠点
福祉部局と教育委員会の連携を強化
不登校の現状 不登校児童生徒数の推移 学年別不登校児童生徒数
学校内外の専門機関等*で相談・指導等を受けた状況 自宅におけるICT 等を活用した学習活動を出席扱いとした小・中学生数
不登校の児童生徒の約半数が、長期(年間90日以上)欠席。
中学校では不登校傾向の生徒が不登校の生徒の3倍との調査も。

相談・指導等を受けていない小・中学生のうち、90日以上欠席した者は4.6 万人。
増加率は小学生が高い
中学校入学後に急増
コロナ禍で、
出席扱いが急増

*スクールカウンセラー、養護教諭、教育支援センター、民間団体等
令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査
日本財団「不登校傾向にある子どもの実態調査」(H30)
(R3)
不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思った時に学べる環境を整えます。
一人一人のニーズに応じた多様な学びの場が確保されている
不登校特例校、校内教育支援センター(スペシャルサポートルーム等)、教育支援センター等、こども家庭庁と連携し多様な学びの場、居場所を確保
学校に来られなくてもオンライン等で授業や支援につながることができる
学校に戻りたいと思った時にクラスを変えたり、転校したりするなど本人や保護者の希望に沿った丁寧な対応がされている

学校の風土の「見える化」を通して、学校を「みんなが安心して学べる」場所にします。
それぞれの良さや持ち味を生かした主体的な学びがあり、みんなが活躍できる機会や出番がある
トラブルが起きても学校はしっかり対応をしてくれる安心感がある
公平で納得できる決まりやルールがみんなに守られている
障害や国籍言語等の違いに関わらず、色々な個性や意見を認め合う雰囲気がある

心の小さなSOSを見逃さず、「チーム学校」で支援します。
1 人 1 台端末で小さな声が可視化され、心の不安や生活リズムの乱れに教師が確実に気付くことができる
小さなSOSに「チーム学校」で素早く支援することにより、早期に最適な支援につなげられている
教育と福祉等が連携し、子供や保護者が必要な時に支援が行われる
こども家庭庁と連携し自治体の教育部局と福祉部局等の連携・協働を強化

これらの取組を実効性あるものにするために、エビデンスに基づきケースに応じた対応を可能にするための調査の実施、学校における働き方改革の推進、文部科学大臣を本部長とする
「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策推進本部」の設置

実効性を高める取組を行います。

目指す姿
不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、 1 学びたいと思った時に学べる環境を整えます。

不登校の児童生徒への支援に加え、その保護者が必要とする情報を提供するとともに、子供たちが様々な学びの場や居場所につながることができるよう、地域の拠点としての教育支援センターに求められる機能や役割を明確化します。
民間のノウハウを取り入れた不登校の児童生徒への支援が行えるよう、業務委託や人事交流等を通して、NPOやフリースクール等との連携を強化します。
教育支援センターの機能を強化
より広域の子供たちや保護者につながれるよう、オンラインによる支援機能を強化するとともに、在籍校とつなぎ、オンライン指導やテスト等も受けられ、その結果が成績に反映されるようにします。
併せて、不登校の児童生徒への支援におけるメタバースの活用について、実践事例を踏まえた研究を行います。
令和5年2月現在 単独で設置している市町村: 1147
他の自治体と共同設置している市町村: 126
設置していないが設置を検討している市町村: 134

早期に全ての都道府県・政令指定都市に、将来的には希望する児童生徒が居住地によらず通えるよう、分
教室型も含め全国300校を目指します。

このため、設置事例や支援内容等について全国に示すとともに、都道府県が域内の設置状況を踏まえ積極的な役割を果たすことを明確にします。
人事交流等を通して、NPOやフリースクール等との連携を強化するとともに、他の学校の児童生徒へのオン
ラインを活用した相談支援、他の学校への助言やノウハウの普及を行います。
「不登校特例校」の名称について、関係者に意見を募り、より子供たちの目線に立った相応しいものとします。
不登校特例校の
設置を促進
令和5年2月現在 不登校特例校: 21校
設置していないが設置を検討している市町村: 379

自分のクラスに入りづらい児童生徒が、落ち着いた空間の中で自分に合ったペースで学習・生活できる環境
を学校内に設置します。
自分のクラスとつなぎ、オンライン指導やテスト等も受けられ、その結果が成績に反映されるようにします。
校内教育支援センター
(スペシャルサポートルーム等)
の設置を促進
令和5年2月現在 全ての学校に設置している市町村: 228
設置している学校がある市町村: 1015
学校は様々な学びを得られる場所ですが、不登校は誰にでも起こり得ることです。

仮に不登校になったとしても、小・中・高等学校等を通じて、学びたいと思った時に多様な学びにつながることができるようにします。
このため、不登校の児童生徒の個々のニーズに応じた受け皿を整備するとともに、教育支援センターが地域の拠点となって、ICTや民間のノウハウ等も活用しながら、子供たちや保護者に必要な支援を届けます。

学校に戻りたいと思った時に、本人や保護者の希望や状況に応じて、クラスを変えたり、転校したりすることについて丁寧な相談が行われるようにします。
希望すれば、1人1台端末を活用して、自宅をはじめとする多様な場を在籍校とつなぎ、オンライン指導やテスト等も受けられ、その結果が成績に反映されるようにします。
多様な学びの場、居場所を確保
社会的自立に向けて連続した学習ができるよう、学校や教育委員会とNPOやフリースクール等との連携を強化します。
こども家庭庁とも連携し、身近な地域で、人とつながり、学びに向かう土台づくりや様々な体験活動ができるよう、学校や家庭以外の多様な居場所づくりを広げます。
不登校の児童生徒の学びの場として、夜間中学を活用するとともに、多様な居場所として公民館、図書館等の社会 04 教育施設を活用します。
高等学校の全日制・定時制課程においては、不登校の生徒も学びを続けて卒業することができるよう柔軟で質の高い学び方を可能とし、通信制課程においては、どの学校においても、社会的自立に向けて必要な資質・能力を身に付けられるようにします。

また、高等専修学校においても「学びのセーフティネット」の取組を進め、これを周知します。
オンラインカウンセリングにより高等学校等の生徒を支援します。
高等学校等進学後も必要な支援が円滑に引き継がれるよう「児童生徒理解・支援シート」を活用し
て、組織的・計画的に支援します。
高等学校等においても 柔軟で質の高い学びを保障

心の小さなSOSを見逃さず、 2 「チーム学校」で支援します。
02 SOSをキャッチした後に、教師やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、養護教諭、学校
医等が専門性を発揮して連携し、最適な支援につなげることができるよう、スクリーニング会議やケー
ス会議の開催方法・支援方法を確立します。
自分のクラスに入りづらい児童生徒が、落ち着いた環境の中で自分に合ったペースで学習・生活できるようにします。
こども家庭庁とも連携し、子供たちと保護者を包括的に支援するため、必要な福祉部局と教育委員会の持
つ子供のデータを連携し関係者で共有します。

また、部局間の人事交流や併任発令を促すことにより、福祉部局と教育委員会の連携を強化します。
「チーム学校」による早期支援を推進

子供たちの心身の状態の変化への気付きや相談支援のきっかけづくりを増やすため、毎日の健康観察にICTを活用します。
子供たちが自分の心や体に向き合うきっかけを作るとともに、子供や保護者が相談したいことがあるときにワンタッチで教師やスクールカウンセラーにつながることができるようにします。
1人1台端末を活用した
心や体調の変化の早期発見を推進
令和5年2月現在  アプリ等を用いた把握を行っている市町村: 411
今後アプリ等の活用を検討している市町村: 580
不登校となる前に、「チーム学校」による支援を行います。「学校生活が辛い…」「先生に相談しても
いいのかな?」などの感情を言葉で先生やカウンセラーに相談するのは勇気が必要ですが、1人1台
端末を活用して、うまく表現できない小さな SOS に早期に気付くことができるようにします。また、関
係者が一丸となり不登校の児童生徒の保護者を支援します。

不登校の児童生徒の保護者が有益な情報を得られるよう、各教育委員会の相談窓口を整備し、教育支援センター、相談機関、保護者の会、フリースクール等に関する分かりやすい情報を提供します。
学校と地域・関係機関の連携・協働や平素からの保護者間の関係づくりを促すため、コミュニティ・スクールの仕組みや家庭教育支援チーム等を活用するとともに、保護者の不安を和らげられるよう、スクールカウンセラーやス
クールソーシャルワーカーが関係機関等と連携して保護者を支援します。
一人で悩みを抱え込まないよう
保護者を支援

学校の風土の「見える化」を通して、 3 学校を「みんなが安心して学べる」場所にします。
01 学校評価の仕組みを活用して、児童生徒の授業への満足度や教職員への信頼感、学校生活
への安心感等の学校の風土や雰囲気を把握し、学校運営を改善します。このため、風土等を把握するためのツールを整理し、全国へ示します。
学校の風土を「見える化」
不登校特例校、NPO、フリースクール等の取組も参考に、自己肯定感を育み安心して学べる学校をつくります。

子供たちそれぞれの良さや持ち味を生かし、みんなが活躍できる機会や出番がある授業づくりが行われるよう、不登校特例校の取組等も参考にしつつ、1人1台端末を活用した子供たち一人一人の学習進度や興味・関心等に応じた指導など、一方通行型でない、子供たちの特性に合った柔軟な学びを実現し、それぞれが前向きに学べるようにします。
学校で過ごす時間の中で最も長い「授業」を改善
特に校内教育支援センター(スペシャルサポートルーム等)では、一人一人の特性や能力、興味や関心に応じた柔軟な学習ができるようにします。

こども家庭庁とも連携し、いじめや校内
暴力等の問題行動には、教育的配慮の下、毅然とした対応を徹底するとともに、犯罪行為があった場合は直ちに警察に相談・通報する体制を構築します。
いじめ等の問題行動に対しては毅然とした対応を徹底

社会の変化等を踏まえた校則の見直し、校則のHPへの公表、ルール作り等へ、児童生徒が主体的に参加できるようにします。
児童生徒が主体的に参加した校則等の見直しの推進

学校の風土と欠席日数の関連を示す研究データもあります。自ら学びたくなる授業や、一人一人に合った個別最適な学び、学校のルール作りに子供たちが主体的に参加すること・ ・・学校改革はまだその途上ですが、子供の声を聞きながら学校の風土を「見える化」して、関係者が共通認識を持って取り組めるようにすることにより、学校をみんなが主役になって、みんなが安心して学べる場所にします。
05
子供たちが心地よい空間の中で学習・生活を行えるよう、快適で温かみのある環境にします。
明日また行きたい学校となるために、学校施設全体を学びの場として捉えた魅力ある環境にします。
快適で温かみのある
学校としての環境整備

障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に充実した時間を過ごすための条件整備と併せて、一人一人の教育的ニーズに応じた学びの場を整備するとともに、障害のある子供を担任だけでなく学校全体で支えられるようにします。
外国人の子供等が自らの「長所・強み」を活用し可能性を発揮できるよう、多様性を尊重しつつ、共に学び合える環境を整備します。
障害や国籍言語等の違いに関わらず、色々な個性や意見を認め合う共生社会を学ぶ場に

実効性を高める取組
不登校の児童生徒の数だけではなく、一人一人の児童生徒が不登校となった要因、どのような学びにつながっているか、不登校傾向の児童生徒の規模等を分析・把握するため、「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の調査内容の見直しを行います。
特に、不登校で学校内外の専門機関等で相談・指導等を受けていない児童生徒の学びの状況等を把握し、必要な支援につなげます。
不登校の児童生徒やその保護者が将来に見通しを持てるよう、不登校の児童生徒本人に対する継続的な実態調査を実施します。
不登校の児童生徒が学びや 01 必要な支援につながっているかを把握
1人1台端末のデータを用いた早期発見や効果的な対応方法の事例を蓄積し、専門的知見とエビデンスに基づき、ケースに応じた支援の在り方を確立します。
エビデンスに基づき、ケースに応じた 02 効果的な支援方法を確立
本プランを公表後、運用改善等で取り組めるものから直ちに取り組みます。

また、文部科学大臣を本部長とする「誰一人取り残されない
学びの保障に向けた不登校対策推進本部」を文部科学省に設置し、こども家庭庁の参画も得ながら、本プランの進捗状況を管理するとともに、取組の不断の改善を図ります。
文部科学大臣を本部長とする 04 推進本部を設置
学校における  働き方改革を推進
教職員定数の改善や支援スタッフの配置、学校DXの推進、学校・教師の業務の役割分担や適正化等を通じた学校における働き方改革の推進により、教師が子供に接する時間を確保します。

関連の用語
学校に行きづらい児童生徒のために、通常の学校より授業時間数が少ないなど、柔軟に学ぶことがで
きる学校(小・中・高等学校等)のことです。
不登校特例校
各地域の教育委員会が開設していて、児童生徒一人一人に合わせた個別学習や相談などを行って
くれる場所です。
市の施設など、公の建物の中にあることが多く、利用料は基本的に無料です。
教育支援センター
児童生徒の心のケアや、ストレスへの対処法など心に関する授業を行う心理の専門家で、教育委員会から学
校などに派遣または配置される方のことです。
臨床心理士などの資格を持っている方が多いです。
スクールカウンセラー
児童生徒やその保護者に福祉・医療的な支援が必要な場合に、福祉の窓口につないでくれたり、手続きの補助などをしてくれたりする福祉の専門家で、教育委員会から学校などに派遣または配置される方のことです。
社会福祉士や精神保健福祉士などの資格を持っている方が多いです。
スクールソーシャルワーカー
教師と、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の専門性を持つ職員が、一つのチームとして連
携・分担して児童生徒の支援等にあたるとともに、学校と地域・関係機関とが連携・協働して、社会全体で
支援を充実させていくことが求められています。
チーム学校 学校には行けるけれど自分のクラスには入れない時や、少し気持ちを落ち着かせてリラックスしたい時に利用できる、学校内の空き教室等を活用した部屋のことです。
児童生徒のペースに合わせて相談に乗ってくれたり学習のサポートをしてくれたりします。
校内教育支援センター

こども家庭庁 文部科学省
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