自信の低さで悩むのは、むしろ過剰な自信がもてはやされているから―これを「自己愛過剰の社会」と評する。
自己愛過剰社会
ジーン・M・トウェンギ (著), W・キース・キャンベル (著), 桃井 緑美子 (翻訳)
インターネットで自分をアピールし、セレブをあがめ、美容整形にはまる……「個性的になれ」「特別になれ」と謡い上げる風潮は社会になにをもたらすのか? 自己愛病の原因と治療法を示す!
はじめに ----アメリカ文化をむしばむナルシシズム
第1部 自己愛病の診断
第1章 自己賛美は万能薬か
第2章 自己賛美の弊害とナルシシズムの五つの俗説
第3章 ナルシシズムで競争社会を生き延びる? ----ナルシシズムのもう一つの俗説
第4章 いつからこんなことになったのか ----自己愛病の起源
第2部 自己愛病の原因
第5章 王様の子育て ----甘やかしの構造
第6章 病気をばらまく困った人々 ----セレブリティとメディアのナルシシズム
第7章 見て、見て、わたしを見て! ----インターネットで注目集め
第8章 年利18パーセントで夢の豪邸 ----放漫融資、そして現実原則の放棄
第3部 自己愛病の症状
第9章 アタシって、セクシー! ----虚栄
第10章 暴走する消費欲 ----物質主義
第11章 70億のオンリーワン ----個性重視
第12章 有名になれるならなんだってやってやる ----反社会的行動
第13章 甘い罠 ----人間関係のトラブル
第14章 我慢も努力もお断り ----特権意識
第15章 神は汝を凡庸につくらず ----宗教とボランティア活動
第4部 自己愛病の予後と治療
第16章 自己愛病の予後 ----どこまで、そしていつまで、ナルシシズムは広がるのだろう?
第17章 自己愛病の治療
謝辞
訳者あとがき
はじめに ----アメリカ文化をむしばむナルシシズム
第1部 自己愛病の診断
第1章 自己賛美は万能薬か
第2章 自己賛美の弊害とナルシシズムの五つの俗説
第3章 ナルシシズムで競争社会を生き延びる? ----ナルシシズムのもう一つの俗説
第4章 いつからこんなことになったのか ----自己愛病の起源
第2部 自己愛病の原因
第5章 王様の子育て ----甘やかしの構造
第6章 病気をばらまく困った人々 ----セレブリティとメディアのナルシシズム
第7章 見て、見て、わたしを見て! ----インターネットで注目集め
第8章 年利18パーセントで夢の豪邸 ----放漫融資、そして現実原則の放棄
第3部 自己愛病の症状
第9章 アタシって、セクシー! ----虚栄
第10章 暴走する消費欲 ----物質主義
第11章 70億のオンリーワン ----個性重視
第12章 有名になれるならなんだってやってやる ----反社会的行動
第13章 甘い罠 ----人間関係のトラブル
第14章 我慢も努力もお断り ----特権意識
第15章 神は汝を凡庸につくらず ----宗教とボランティア活動
第4部 自己愛病の予後と治療
第16章 自己愛病の予後 ----どこまで、そしていつまで、ナルシシズムは広がるのだろう?
第17章 自己愛病の治療
謝辞
訳者あとがき
参考文献
著者について
サンディエゴ州立大学教授。シカゴ大学を卒業後、ミシガン大学で博士号を取得。彼女の研究成果は「タイム」紙、「ニューヨーク・タイムズ」紙などでも紹介された。著書に『ジェネレーション・ミー』(未訳)がある。
ナルシストという言葉は、これまで学術的に習った事がなく、
それこそ、学生時代の他人を批判する言葉程度としてしか、身の回りになかったので
非常に勉強になった。
例を出すなら、例えば「ナルシスズム」と「高い自尊心」の違いである。
自己愛病の原因として、本著作はネットやメディアによる影響を指摘している。
そして、その影響を一番大きく受ける子供について、それらからうまく守るべきだと指摘している。
場合によっては、政治的な手段、法律を導入する必要性等も言及されており、
若干乱暴な感もあるが、それでも著者らの真剣なメッセージが伝わってくる。
本著作は、アメリカを分析したものであり、アメリカの読者を対象とした読み物のように読めるが
Facebook,Twitter,Myspaceなどのインターネットソーシャルネットサービス、
Sex and the cityに代表されるアメリカのTVドラマに
十分触れる機会のある私達にも同様の症状は、多かれ少なかれ、当てはまる。
事実、本著で指摘される様々な症状を読めば、いくつか、もしくは全てに、共感する事だろう。
この本は、他人や自分自身の中にこの病気が少なからず入り込んでいる事を教えてくれる。
そして、読み終わった翌日から、私たち自身の行動を変えようと意識させてくれる。
非常に勉強になった。
例を出すなら、例えば「ナルシスズム」と「高い自尊心」の違いである。
自己愛病の原因として、本著作はネットやメディアによる影響を指摘している。
そして、その影響を一番大きく受ける子供について、それらからうまく守るべきだと指摘している。
場合によっては、政治的な手段、法律を導入する必要性等も言及されており、
若干乱暴な感もあるが、それでも著者らの真剣なメッセージが伝わってくる。
本著作は、アメリカを分析したものであり、アメリカの読者を対象とした読み物のように読めるが
Facebook,Twitter,Myspaceなどのインターネットソーシャルネットサービス、
Sex and the cityに代表されるアメリカのTVドラマに
十分触れる機会のある私達にも同様の症状は、多かれ少なかれ、当てはまる。
事実、本著で指摘される様々な症状を読めば、いくつか、もしくは全てに、共感する事だろう。
この本は、他人や自分自身の中にこの病気が少なからず入り込んでいる事を教えてくれる。
そして、読み終わった翌日から、私たち自身の行動を変えようと意識させてくれる。
精神医学系の本を読むことが多い自分には
この本のように病名や障害名を持ち出さなくても
社会の病理を説明できるんだーと感動した。
この本のナルシシズムは、日本語の自己チューに近いと思う。
文字通り鏡を見てうっとり、も扱っているので少しズレはある。
著者らの「あんたたち、自分を何様だと思ってんの!」という怒りが
全編に渦巻いている。そりゃ怒るよなあという事例がこれでもかこれでもかと
挙げられている。いや、誕生パーティーのパレード(!)のために大通りを
封鎖しろとかな。子供の頃からお前は特別とすべての子供が言われ続けてきた
結果、あらゆる人が自分は特別扱いを受けるべきだと思うようになった。
萎縮している子供にあなたはあなたのいいところがあるわ、と言うのはいい。
何もしてないうちから君はすごい、スペシャルだとか言われれば
そりゃ「勘 違 い」するわなあ。
この手の本って分析はしても処方箋部分は無いも同然だったりするが、
これは違う。バシバシ。えっ、アメリカ人ってそういうのどうでもよかったの?な内容ばっかだが。
同調圧力が通じない人間ばかりだと社会が回らなくなる、という言われてみれば
当たり前の話。
著者の謝辞の「ナルシシズムの調査が著者のドメイン名で行われているという究極の
皮肉を大目に見て回答してくれてありがとう。」に笑った。
著者の一人は交際中の彼氏に自己愛人格尺度の診断テストをやってもらった。今は夫。
いいかもしんない。就職の採用時の判断材料にもいいかも。
あたしがいなかったらどうなるの、この会社〜、とか言ってる人に限って大したことないし。
いやー、無差別銃乱射事件もモンスターペアレンツもモンスタークレーマーも暴走する老人も
ツイッター廃人もみんなナルシシズムで説明できちゃうのだ。
うう〜ん、便利だな。
社会の病理を説明できるんだーと感動した。
この本のナルシシズムは、日本語の自己チューに近いと思う。
文字通り鏡を見てうっとり、も扱っているので少しズレはある。
著者らの「あんたたち、自分を何様だと思ってんの!」という怒りが
全編に渦巻いている。そりゃ怒るよなあという事例がこれでもかこれでもかと
挙げられている。いや、誕生パーティーのパレード(!)のために大通りを
封鎖しろとかな。子供の頃からお前は特別とすべての子供が言われ続けてきた
結果、あらゆる人が自分は特別扱いを受けるべきだと思うようになった。
萎縮している子供にあなたはあなたのいいところがあるわ、と言うのはいい。
何もしてないうちから君はすごい、スペシャルだとか言われれば
そりゃ「勘 違 い」するわなあ。
この手の本って分析はしても処方箋部分は無いも同然だったりするが、
これは違う。バシバシ。えっ、アメリカ人ってそういうのどうでもよかったの?な内容ばっかだが。
同調圧力が通じない人間ばかりだと社会が回らなくなる、という言われてみれば
当たり前の話。
著者の謝辞の「ナルシシズムの調査が著者のドメイン名で行われているという究極の
皮肉を大目に見て回答してくれてありがとう。」に笑った。
著者の一人は交際中の彼氏に自己愛人格尺度の診断テストをやってもらった。今は夫。
いいかもしんない。就職の採用時の判断材料にもいいかも。
あたしがいなかったらどうなるの、この会社〜、とか言ってる人に限って大したことないし。
いやー、無差別銃乱射事件もモンスターペアレンツもモンスタークレーマーも暴走する老人も
ツイッター廃人もみんなナルシシズムで説明できちゃうのだ。
うう〜ん、便利だな。
本書では現代社会に蔓延する自己愛の病理の問題を扱っている。
非常に大部で、装丁からも本格的な専門書かと見紛うような印象を受けるが、残念ながらその内容は非常にお粗末なものである。
基本的には、ナルシシズムに起因するとされる種々の社会現象(美容整形やらセレブ信奉やら華美な生活やら)の素朴な、そしてときに煽情的な記述に終始し、自己愛的な人びとの下世話なエピソードが紙幅の大半を埋め尽くしている。
また、著者たちは心理学者であるにもかかわらずナルシシズムの心理分析は非常に稚拙で、それゆえ市井のわれわれが持つ直感的理解の域を出るものではない。
加えて、ナルシシズムがもたらす弊害に対する解決策にしてみても、同語反復的な精神論や机上の空論に基づく提言ばかりで、バカバカしくなってくる。
要するに、本書はナルシシズムという現象に関する質の低いルポルタージュの寄せ集めに過ぎず、通俗的理解を一歩踏み越えた諸事象を包括しうる説明概念の提示を本書に求めるなら、読者は見事に裏切られることになるだろう。あるいはこれが心理学という学問の限界ということなのかもしれない。
翻訳の質も決して高いものではない。
非常に大部で、装丁からも本格的な専門書かと見紛うような印象を受けるが、残念ながらその内容は非常にお粗末なものである。
基本的には、ナルシシズムに起因するとされる種々の社会現象(美容整形やらセレブ信奉やら華美な生活やら)の素朴な、そしてときに煽情的な記述に終始し、自己愛的な人びとの下世話なエピソードが紙幅の大半を埋め尽くしている。
また、著者たちは心理学者であるにもかかわらずナルシシズムの心理分析は非常に稚拙で、それゆえ市井のわれわれが持つ直感的理解の域を出るものではない。
加えて、ナルシシズムがもたらす弊害に対する解決策にしてみても、同語反復的な精神論や机上の空論に基づく提言ばかりで、バカバカしくなってくる。
要するに、本書はナルシシズムという現象に関する質の低いルポルタージュの寄せ集めに過ぎず、通俗的理解を一歩踏み越えた諸事象を包括しうる説明概念の提示を本書に求めるなら、読者は見事に裏切られることになるだろう。あるいはこれが心理学という学問の限界ということなのかもしれない。
翻訳の質も決して高いものではない。
自己愛「ナルシシズム」についての啓蒙書です。
この「ナルシシズム」は、たぶんさまざまな反響を呼ぶと思います。心配なのは、表面的な意味に受け取られ、それが暴走することです。
この本のスタンスは、アメリカの子どもを育てている世代を対象としています。
対人関係の啓発ではなく、子育てについてです。「ナルシシズム」の対象は、主に子どもたちで、その要因を社会的に分析しています。
社会的というのも重要で、もともと自己主張の強いアメリカ社会の中でのことですから、「謙虚」ということも、日本人の受け止めるスタンスとかなり違います。そのままに受け止めると、日本人的なナルシストの餌食になってしまうと思います。
というのも、提言に仏教のことが書かれているのですが、これも日本人が認識している仏教とは違います。アメリカの解釈した仏教なのです。
社会的背景がかなり違いますが、バブル期からの日本にも、そうした傾向があり、「ナルシシスト」も日本にも多いと思います。
社会的というのも重要で、もともと自己主張の強いアメリカ社会の中でのことですから、「謙虚」ということも、日本人の受け止めるスタンスとかなり違います。そのままに受け止めると、日本人的なナルシストの餌食になってしまうと思います。
というのも、提言に仏教のことが書かれているのですが、これも日本人が認識している仏教とは違います。アメリカの解釈した仏教なのです。
社会的背景がかなり違いますが、バブル期からの日本にも、そうした傾向があり、「ナルシシスト」も日本にも多いと思います。
むしろ横並びを重視する社会であるが故に、ある意味、アメリカよりも深刻な一面があると思います。
ネットについて、「ナルシシズム」を助長する傾向があるということですが、著者の改善策は、現状に追いついていないので(タイムラグがあるので)、無理だと思います。
ネットについて、「ナルシシズム」を助長する傾向があるということですが、著者の改善策は、現状に追いついていないので(タイムラグがあるので)、無理だと思います。
その点で、この本は学術書ではなく、実用書だと思う。
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