別荘地という、ちょっと変わったコンセプトの場所に住んでいるので、隣近所というのがあまり多くない。
この別荘地全体で何世帯、何人ぐらいの人たちが住んでいるのかもよくわからないが私のエリアには家が十数件ありそのうち常時住んでいるのは私の家も含めて5世帯ほど。
別荘地でいうエリアというは、東京郊外の建て売りが並ぶ新興住宅地によく見られる碁盤の目のような区画とは違い、どちらかというとドン詰まりの細い道路が無数にアリの巣のようにある(というか、人間の毛細血管といった方が近いのかナ)エリアの中の一つのドン詰まりエリアのこと。
その一つ一つのエリアだけみれば、それぞれまったくの「限界集落」。
まあ、日本中どこでもこういう場所は似たり寄ったりだと思うが、こういうエリアでの近所づきあいというのはとても微妙だ。
隣近所がけっこう遠い。
家は見えているものの、きっと大声出しても駆けつけてはくれないのでは…と思うぐらいの距離だ。
それでも災害を含めイザという時にはやはり近くにいる人同士の結びつきは欠かせない。
その私のエリアで一件だけ一人暮らしの家がある。
もともとはこの家のおじいさんとのつきあいもあったのだが、数年前になくなられ現在はSおばあちゃんの一人暮らしだ。
時々自分で作られた家庭菜園のものを「ダイコン持ってきたよ」と行って見えたりする。
私もお返しに「お菓子作ってきましたよ。食べてください」と持っていったりする。
そんな仲のおばあちゃんなのだが、最近姿が見えないナと心配になっていた。
朝の散歩の途中でも、「うん、どうしよう。ドアノックしようかナ」とも思ったりするのだが、まあお盆の最中だしどこかに出かけたのかもしれないと勝手に自分を納得させて人気のない家の前を通り過ぎる。
まあ、それでもちょっと心配で「電話を….」と思うものの、ダイヤルを回すきっかけがつかめないまま、そうだ、今日は午後から台風だナと思い、あわててスーパーへ買い物に出かけた。
するとよくしたもので、そこでちょうどそのSさんの向いの家に住むおばさんから声をかけられた。
これ幸いと私は「Sさん、どうしてます?最近見かけないですネ」と切り出すと彼女「ああ、Sさんね、いま東京の娘さんのところに行ってらっしゃいますよ」。
そうだったのか。
それならよかったと、とりあえず胸をなでおろす。
そう言えば、Sさん以前に言っていたっけ。
「前は、よくマゴたちが遊びに来ていたの。でもこの頃は虫が嫌いと言ってこちらに来るのをいやがるようになって最近はサッパリ」。
だから、おばあちゃんの方から娘さんやお孫さんたちに会いに出かけたのかナ。
年寄りに無理に旅させずにみんなでこっちに来てあげればいいのにとは思うものの、とりあえず無事がわかっただけでもデメタシ、デメタシ、でした。