今日の「 お気に入り 」 。
「 中国の諺に『 寧ろ 鶏口となるも 、牛後となるなかれ 』とあり
ます 。『 史記 』に出てくる言葉です 。
自分の力に合わないところへ行って対応できないで埋もれてしま
うよりは 、自分に合ったグループでリーダーになれという意味で
すが 、私は 、本来は逆だと思います 。
国語の試験でこう書くと間違いになってしまいますが 、
『 寧ろ牛後となるも 、鶏口となるなかれ 』が大事です 。
自分より上の人たちの中に身を投じて 、そこから這い上がり上の
方へ行くということがどうしても必要だと思います 。
お山の大将では自分に発展が無い 。
自分より優れた人間はたくさんおり 、そういう人たちを見つけたら
くらいついて行く 、その人の考え方やノウハウを全部盗む 。
盗むことは少しも恥では ありません 。メンターという言葉もあります 。
そういう人たちに食らいつき 、 実力で凌駕するように 、課題を難しい
所に設定し 、自分のハードルを高くする 。自分が手を伸ばしても届か
ない 、ちょっと先に目標を設定する 。」
「 大きな人たちの群れで努力することで初めてその群れの前に行けます 。
鶏の中にいたらいつまでたってもお山の大将です 。
優れた人たちを見続けることは非常に大事です 。自分より一段上の人
たちと交わり 、お山の大将になるなかれ 。
確かに自分に自分の実力以上の課題を設けることは大変です 。だけれど 、
実力以上のアサインメントを課すことで 、懸命に食らいつき 、一生懸命
努力して 、少しずつ前に行くことが大事だと思います 。
手を伸ばし 、届くかな 、やっぱり届かない 、というくらいのところに
目標を置いて 、そこへ向かって必死で努力をするということです 。」
「 プロアクト ( proact ) 型人間になっていただきたい 。」
「 プロアクト型人間とは 、リアクト ( react ) 型人間の反対です 。リアクト
型人間は 、受け身 、状況対応型 。リアクトは 、日本ではよく使われる
言葉で 、何かに反応するということです 。
それに対して 、プロアクトという言葉は日本ではあまり使われません 。
プロアクトとは能動的 、つまり状況対応の反対で 、状況創造型でいくと
いうことです 。
リアクトは環境が命ずるままに自分で動く 。例えば 、会社が命じるまま
に動くので暇になる場合もあり 、悪口を言い 、頑張る人の足を引っ張る 。
プロアクト型の人間は自分も環境の一部として考える 、つまり自分が動
けば環境も動く 。上司の命令を待たず 自分で自分の仕事を探しに行く 。
常に、フロンティアを求め動く 。つまり忙しくてしょうがない 。人の悪
口を言っている暇はない 。常に新しいことはないかと動き回っている 。
国でも企業でも 、プロアクト型人間が増えなければ進歩がありません 。
いかにプロアクト型人間を増やすか 、というのはとっても重要なことで
す 。 」
( 出典 :岡本 行夫著 「 日本にとって最大の危機とは ?
“ 情熱の外交官 ” 岡本行夫 最後の講演録 」 文藝春秋 刊 )
同じ著者の「 自伝 」を読み進めています。
自慢話の多い 、普通の自伝もの と異なり 、時代に翻弄される両親世代の人生を語る
部分は重い内容 。
著者のように「 プロアクト型人間 」になれる人もいれば 、「リアクト型人間 」に
終始する人が多いのも、現実の世の中 。
国際人を目指す若人を主たる聴衆とする講演録とは 、趣を異にする本 。