今日の「 お気に入り 」 。
「 盛唐の詩人 、王之渙 ( おうしかん ) の『 登鸛鵲楼( 鸛鵲楼に登る )』という
五言絶句の漢詩があります 。
白日依山尽
黄河入海流
欲窮千里目
更上一層楼
白日 山に依りて尽き 、黄河 海に入りて流る 。
これは雄大な自然を詠った部分です 。その後が大事だと思います。
千里の目を窮めんと欲し 、更に上る一層の楼
鸛鵲楼は高い塔なので 、一階上に登ろうが 登るまいが 、景色は
もう変わらない 。しかし 、それでも もう一階 上がる 。 そして
千里の眺めを窮めるのだ 。自分が今やっていることは もう十分だ
と思うが 、さらに もう一歩 やってみるのだ 、というこの気持ち
を持ち続けてほしい 。楼に登って大きなパノラマが見える 。
もう一階上がっても 大して変わらないかもしれないが もう 一階
上がってみる 、という逞ましさがある漢詩です 。」
( 出典 : 岡本 行夫著 「 日本にとって最大の危機とは?
“ 情熱の外交官 ” 岡本行夫 最後の講演録 」 文藝春秋 刊 )