今日の「 お気に入り 」は 、山田太一さんのエッセイ
「 夕暮れの時間に 」から「 適応不全の大人から 」の一節 。
備忘のため 、抜き書き 。
引用はじめ 。
「 私にはこのごろのテクノロジーの変化が病的に早く思えてならない 。
静かにその時々の変化や成果を味わう暇もなく 、どしどし神経症の
ように 新発明 新ツールが次々現われては現在を否定する 。その結
果の新製品 、新ツールも病的に細かい変化で 、なくてもやってい
けるものばかりどころか 、ない方がよかったのではないかと 、少
し長い目で見ると人間をこわしてしまうような細部の発明を目先だ
けのことで流通させてしまう 。
あ 、やってしまった 。
適応不全の老人が『 昔はよかった 』風なことは決して いうまい
と思っていたのに 、いってしまった 。もう仕様がない 。そうな
のである 。私は 便利さは感受性をのっぺりさせるし 、豊かさは活
力を奪うとか 、そんなことを思っている時代おくれの人間です 。
そして 、いま大人というものがいたら 、こんなことをいう大人が
いたらいいな 、と思っているのです 。
( 『 學鐙 』2014 年夏号 )」
引用おわり 。
はやりものはすたりもの 。