今日の「 お気に入り 」は 、南木佳士さんのエッセイ
「 からだのままに 」 ( (株)文藝春秋 刊 ) から 、
「 からだ 」と題した文章 。
備忘のため 、抜き書き 。
引用はじめ 。
「 第一線の現場で働く内科の臨床医となって初老と呼ばれる
年代に深く入るまで生きてしまったのに 、そして 、たく
さんの亡くなる人たちを見送ってきたのに 、いまだに死に
関する定まった視点を持ち得ないでいる 。医者になりたて
のころ 、死は完璧に他者のものであり 、こちらはたまたま
臨終の場面に立ち会わねばならぬ職業についたまでで 、やが
ては慣れるだろうと たかをくくっていた 。
中年にさしかかると 、日々見慣れたはずの死が 、じつは
自分の背後にそっと迫っているのを知り 、慄然とした 。他
者に起こることはすべてわたしにも起こりえるのだと肌身に
しみた 。本当の大人になるとはこういう大事を知ってしまう
ことなのだろうから 、わたしは厄年のあたりでようやく成人
したのだ 。
それからは 、自分が存在することそのものが不安で 、夜も
眠れなくなり 、結果として病棟の担当を降りねばならないほ
ど心身を病んだ 。
『 百歳まで生きたいのでしたら手術をしますが 、そうでない
のならこのまま様子をみたほうがいいのではないでしょうか 』
先日 、病棟で 、高齢のがん患者さんにこういう話し方をして
いる医者がいたから 、あとで 、それはちょっと違うような気
がするけどなあ 、と第一線を退いた身は遠慮しつつ告げた 。
毎日 外来で 多くの高齢者を相手にしているが 、九十歳を超え
た方には必ずおなじ質問をする 。お若いころ 、こんなに長生
きをすると思っておられましたか 、と 。答えはすべておなじ
で 、まったく思っていませんでした 、となる 。
だれも 、百歳まで生きよう 、などとたくらまずに 、生活の
細部を 手抜きなく こなしてきた結果 が 長寿 なのだ 。強いて長寿
の理由を挙げてもらうと 、運 でしょうかね 、との回答が最も
多い 。
みんな 、きょう死ぬかもしれない朝にも 、自分が死ぬとは
思っていない 。なぜなら 、死のそのときまでは生きている
のだから 。
ここで急に男と女の話になるが 、からだに不調を感じたとき 、
無理をしないように話すと 、それを守るのが女 、守れない
のが男という傾向はたしかにある 。男はからだを理屈でコン
トロールできると無邪気に信じているのかもしれない 。総合
感冒薬のテレビCMに出てくる 、薬を飲めばすぐに会議に出
られる 、といった単純な物語を好む人も男が多い 。こういう
無理の積み重ねが男女の寿命差につながっている気がしてなら
ない 。
死ぬまでは必ず生きている 「 からだ 」 。その圧倒的な存在
感のまえで色あせない世俗の価値を探すのはきわめて難しい 。
理屈を寄せ集めて世俗の価値を追い求めているとき 、その理屈
を支えているのが ほかならぬ自分の自然なる からだ なのだと自覚
できている人を見つけるのも 、おなじように困難だ 。
かように書きながら悟りきれないわたしは風に吹かれるミノムシ
のごとくからだのままに揺れている 。 」
引用おわり 。
( ´_ゝ`)。
( ついでながらの
筆者註: 「 南木 佳士( なぎ けいし 、本名:霜田 哲夫 、
1951年(昭和26年)10月13日 - )は 、日本
の小説家 、医師 。既婚 。
代表作は 芥川賞受賞作 『 ダイヤモンドダスト 』
( 1988年 ) 、『 阿弥陀堂だより 』 ( 1995年 ) 。
自身のうつ病の経験から 、生と死をテーマにした作品
が多い 。
経 歴
群馬県吾妻郡嬬恋村出身 。嬬恋村立東小学校 、
嬬恋村立東中学校 、保谷市立保谷中学校 、
東京都立国立高等学校を経て 、秋田大学医学部
医学科を卒業後 、佐久総合病院に勤務 。
1981年( 昭和56年 )、『 破水 』 で第53回文学
界新人賞を受賞し小説家デビュー 。翌年 、『 重い陽
光 』 で 第87回芥川賞候補 。1983年に 『 活火山 』 、
1985年に 『 木の家 』 、1986年も 『 エチオピアからの
手紙 』 で芥川賞候補となる 。
1989年( 昭和64年/平成元年 )、『 ダイヤモンド
ダスト 』 で 第100回芥川賞を受賞 。
1990年( 平成2年 )から 1996年( 平成8年 )、
パニック障害で病棟責任者を辞任 。その後 鬱病 を
発症 。
2008年( 平成20年 )、 『 草すべり その他の
短編 』 で 泉鏡花文学賞 を受賞 。翌年には 『 草
すべり 』 で 芸術選奨文部科学大臣賞を受賞 。」
以上ウィキ情報 。 )
キリギリス ではなく 、クビキリギス ってやつかな ? それとも ショウリョウバッタ ?
これほど大きいのを 、わが家の庭でみるのは初めてのような気がする 。
右の写真は 、ドイツの鉄鋼大手ティッセン・クルップのグループ会社が製造した 、
古いわが家の バリアフリーのために レンタルで利用している 、屋外用の階段昇降機 。
家庭用電源を使用 、椅子の脚部にモーターが入っている造りらしい 。モノレール 。
「 クビキリギス ( Euconocephalus thunbergi ) は 、バッタ目キリギリス科の昆虫 。
クビキリギリス ともいう 。」 、それとも
「 ショウリョウバッタ( 精霊蝗虫)Acrida cinerea は 、バッタ目 ・バッタ科 に分類
される昆虫の一種 。日本に分布するバッタの中では最大種で 、斜め上に尖った頭部が
特徴である 。別名 ショウジョウバッタ 。 」。
多分後者 。
「 草木国土悉皆成仏 」
( 弘法大師 空海 )