「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

Long Good-bye 2019・11・03

2019-11-03 05:40:00 | Weblog






  今日の「お気に入り」。


   「 先頃読んだ一冊に、石ノ森章太郎著の『レオナルド・ダ・ビンチになりたかっ

    た』というのがあった。その中のある箇所を読みながら、私は微笑してしまった

    のだ。

     ── どうせおなじ人生なら、豊饒(ほうじょう)であるにこしたことはない。レ

    オナルド・ダ・ビンチは、一四五二年四月十五日の夜に生れた。コロンブスがア

    メリカを発見する四十年前。イタリアの小さな村でだった。母親の名前は記録に

    ない。つまり、父親がどこかの女性に産ませて、ひきとって育てた子 ”私生児”

    である。

     そんな環境、そだちが、その後のレオナルドの一生に、なんらかの影響をあた

    えたかどうかは、わからない。だから、絵を描くようになった。だから、孤独

    ぐせや頑固さが身についた、だから、生涯独身だった。

     いくらでもいえるだろうが、推測にすぎない。こじつけて断定すれば、下司の

    勘ぐり
になるだろう。もしかしたら、往時は、こんなそだち方はさほどかわっ

    たことではなく、あとに傷をのこすようなことではなかった、かもしれないの

    だ。

     いずれにしろ、その生き方や業績をみれば、むしろプラスに作用した、とみて

    いいだろう。・・・(中略)・・・

     挫折(ざせつ)感や苦悩、悲哀、そして計算や名誉欲といった、われわれ俗人の

    もつとおなじような弱さを、レオナルド・ダ・ビンチも持っていたのだ。

     なのに、彼は万能の天才だった。 ──


     傍線をつけたのは、石ノ森氏でなくて、私である。なぜなら、その箇所は、私

    もまったく同感だったからである。 」


     ( 塩野七生著「想いの軌跡」(新潮文庫)新潮社刊 所収 )




                   






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Long Good-bye 2019・11・01

2019-11-01 04:55:00 | Weblog





  今日の「お気に入り」。


   「 今の私は、人生の上でも仕事上でも、折り返し点にきたと思っている。

    そして、これからの人生を、次のレオナルド・ダ・ヴィンチの言葉を

    はげみにして、進んで行きたいと願っている。


    ── うまく使えた一日の終わりに快よい眠りが訪れるのに似て、

          うまく使えた人生の後には穏やかな死が訪れる
── 」


     ( 塩野七生著「想いの軌跡」(新潮文庫)新潮社刊 所収 )



                   







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