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大根と玉葱を植えた後、
最も気を遣ったのは、
大げさに言えば灌漑(かんがい)、
簡単に言えば水の管理でした。
私の畑は、元は棚田です。
土の層は浅めで、40cmくらい掘ると
岩の層にぶつかってしまいます。
そのためか、雨が降ると湿ったままになりやすく、
晴れの日が続くと思った以上に乾きます。
畑の乾燥対策として、
当初は、畑の奥側を流れる水路から
そのまま水を引いていました。
しかし、水の流れをコントロールするのが難しく、
うまくいきませんでした。
次に、大容量のバケツを畑に置き、
そこに水を貯めておく方法を試みました。
柄杓(ひしゃく)を使って
水路の水を大きなバケツに汲んでおきます。
水やりの際には、
一般的な大きさのブリキのバケツに水を移し、
歩きながら柄杓で畑に水を撒(ま)きます。
今に至るまで、この「バケツ・柄杓方式」が続いています。
畑が乾いてしまった時には、
散水にかなりの時間がかかります。
そのため、柄杓の使い方がすっかりうまくなりました。
気のせいかもしれませんが、
右腕の筋肉がちょっと増えたように思います。
冬の間は、水やりと、
畑地を拡げることが主な仕事となりました。
水やりの合間を縫っては、
雑草の生い茂る「未開拓地」を耕していきました。
春が近付く頃には、
ウサギに食べられた大根と玉葱の
「地上部分」もだいたい回復し、
「少しは収穫できるのではなかろうか」、
と期待できる状態になっていました。
また、その頃には、
畑はそれまでの二倍ほどの広さになっていました。