高知発 NPO法人 土といのち

1977年7月に高知県でうまれた「高知土と生命(いのち)を守る会」を母体にした、47年の歴史をもつ共同購入の会です。

遅ればせながら新春企画 ~土といのちに望むこと 又は 会員さんに望むこと その5

2020-04-03 09:00:00 | 生産者からのメッセージ
土佐市 井上清澄です。

今より40年位前になるだろうか。
正確な年月は定かでないが、
市原麟一郎さん・須崎工業高校の坂本先生・高知西校の近藤先生集まる
“土佐民話の会”に出たことがあった。
その中で吾北や池川の赤カブの話が出て、
日本最後の焼畑が出来ないようになって、
今は作られていないと言う。

私の小さい頃は葉山カブ・弘岡カブ・小カブなどが作られていて、
それぞれおいしいカブであった。
今は全国同じ品種で味も同じようなもので、
その土地の味はない作物が多い。
残念である。

それがある時、遠縁の若者が池川で
農業支援員をされているというので聞いてみた。
少し考えて、そんな話聞いた事があると言う。
これがたまるかと、すぐ行ってみた。
日本最後まで焼畑があったツベ山ではなくて大西集落にあった。
急な坂道をしばらく登って行くとポツポツの集落があり、
桑、楮の間に2ウネ位の赤カブが並んでいた。
おばあさんはカブの手入れをしながら、
「今はもう作る人は居なくなった。私一人が牛乳瓶1本の種をとる」と言う。

これがたまるか、誰かが種を伝えなければ赤カブは消えると思った。
その秋、少し種をいただいて蒔いてみた。
赤ムラサキ色の赤カブは、煮ても良し、
酢カブにしても赤い色がでて大変おいしい。

今は葉山カブ・弘岡カブ・柚ノ木カブも見ることはなくなった。
赤カブは今、種の保存会が出来ているとの事、安心している。

※ この記事は、NPO法人土といのち『お便り・お知せ』2020年4月号より転載しました。
コメント
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