同じ町内に牧場があるなんて、全く知らなかった。
一緒に自治会役員をやらせていただいているご縁で、
大橋牧場にお邪魔し、大橋あさ子さんにお話しを伺った。
大橋牧場には、42頭の現役の乳牛と20頭ほどの子牛、
そして出産を終えたばかりの2頭の牛がいる。
子牛と言っても、生後1ヶ月のものと1年半のものとでは
大きさが全く違う。
生後2年経たなければ、乳牛として活躍できないのである。
毎朝、フクロイ乳業の2tのタンクローリーが
4件分の牛乳を集めに来る。
毎日、サンプルを提出し、その場で簡単な検査が行われる。
さらに、本社で精密な検査を行い、何段階にも分けて
安全性が厳しくチェックされる。
もし、そこで異常が見つかった場合は、
そのタンクローリーの4件分の牛乳はすべて廃棄され、
異常のある牛乳を出荷した農家が全額を負担することになる。
だから、牛に与えるエサや薬にも気を使う。
以前は、牛が病気になれば、すぐにペニシリンを投与して
一晩で回復させたが、今は強い薬は使えないので、
病気の回復にも時間がかかるという。
また、飼料用の米やとうもろこしは、空いている田んぼを借りて作り、
その他は外国産のものを使用。
4月には飼料用作物の種をまき、
6~8月はその栽培と収穫にも追われる。
大橋さんのお宅は、(大変失礼な言い方であるが)
悪路とも言えるような山道を登ったところにある。
それでもあさ子さんは、
「うちは恵まれた環境でよかった。」とおっしゃる。
周囲に住宅地ができてしまうと、住民から市役所に
「悪臭がする。」とか
「牛小屋用の扇風機のモーター音がうるさい。」
などの苦情が来るそうである。
その人たちも、牛乳や乳製品は使っているというのに・・・。
製品になったものにしか目が行かず、
どうやって生み出されているのかということに
考えが及ばないのだろう。
あさ子さんは、こう続けた。
「牛は経済動物だから、動かなくなったらそれで終わり。
でも、400kgもある動物は、私たちの力じゃ運べない。
だから、専門の業者が来て、場に連れていくんだよ。
機械じゃないからね、どんなに重くても
ばらして運んでいくわけにはいかないから・・・」
牛は生き物。
私たちは、命あるものをいただいて生かされているということを
決して忘れてはいけない。