昨日に続いて、江戸東京野菜のお話です。
今日は、寺島なすを紹介させていただきます。
一般的ななすと並べてみると、
そのコロンとしたかわいらしさが伝わってきます。
寺島なすというのは通称で、
正式名称は、蔓細千成(つるぼそせんなり)と言います。
寺島村(現在の墨田区向島あたり)が、
蔓細千成の産地であったことから、
寺島なすと呼ばれるようになりました。
包丁を入れた時のサクッとした感触からも
皮がしっかりしていて、果肉が緻密なのが伝わってきます。
まず、このサクッとした小気味よい食感を
そのまま味わいたかったので、
生のまま細かく刻んで、「だし(山形の郷土料理)」に。
写真は、ハンバーグに「だし」をかけていますが、
きゅうりや香味野菜に混じっても、
寺島なすの存在感は抜群です。
こちらは、なす料理の定番、麻婆なすに使いました。
小ぶりなので、縦半分に切るだけ・・・。
麻婆なすにする時は、面倒でも一度揚げるようにしています。
この揚げた寺島なすのおいしいこと。
とろんととろけるような食感に変わります。
夫が、思わずこう言いました。
「えっ、これって本当になす?
こんなに味が濃いなす、初めて食べた!!」
寺島なすは、草丈が低く、横に広がって行きます。
茎も細く、たくさんの枝を出し、
小さいなすを大量に実らせる品種です。
そして、収穫のタイミングを逃すと、
色があせてしまうという難しさもあります。
しかし、隅田川上流から運ばれてきた肥沃な土壌が
このなすを作りだし、江戸庶民の生活を支えていた
という歴史を振り返ると、
小ぶりな寺島なすの持つ「うまみ」が
よりずっしりと重く感じられます。
すてきな江戸東京野菜との出会いを与えてくださったS先生、
心から感謝申し上げます。 (*^_^*)