在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

グラッパ ボッキーノ 5種

2007-12-01 07:20:45 | Piemonte ピエモンテ
Bocchino -Piemonte
グラッパの試飲会ならいい(遠慮します、の意味)と言う人は多いようで、いつものワインの試飲会と比べると参加者が少ない。確かに、グラッパをどんどん出されても、ワインのようには飲めないし、もったいないなんて思って飲んだら、当然酔っぱらう。残念ながらグラッパは、試飲会をするには不便scomodoと言える。
私も、グラッパならいい、と最初言ったが、ピエモンテから生産者は来るし、ヴィンテージものがあるし、面白いからぜひ来てほしいと言われ、参加したが、実に面白かった。
グラッパは北イタリアに集中して蒸留所があるが、ボッキーノは、ピエモンテのカネッリにある。カネッリはモスカートの生産地域である。
1898年創業、来年は110年を迎えるというボッキーノ。モスカートのグラッパ2種、ヴィンテージもの2種、そして、看板グラッパ1種の計5種を飲んだ。
ところで、生産ラインは3つ+1つある。
一番手軽なラインが「ジェンメ・ディ・ヴィナッチャGemme di Vinaccia」。樽熟モスカートを試飲した。一番下のラインということで、フツウのグラッパに近いと思ったら全然違った。よくある洋梨、リンゴなどの香りは全くなく、藁、草fieno、野菜系の香りが出ていた。味は、最初はまろやかだが、超辛口で、コショウ、唐辛子を感じる。
次のラインが「ソルキSolchi」。瓶のデザインがとてもきれい。これもモスカートを試飲したが、香りに、最初、ぴりっと白コショウ、そして、シナモン、noce moscato、蜂蜜、香草、薬草などが出てくる。香りの変化がかなり大きい。味はまろやかで、蜂蜜と干しイチジク。
次に、グラッパのヴィンテージもの。1975年から1996年、6ヴィンテージのうち、1996年、1989年を試飲した。品種はネッビオーロ(バローロとバルバレスコ)とモスカートのブレンド。1996年が、一番フツウだった。フレッシュな洋梨、リンゴの香りに、味も柑橘の皮など。1989年はかなり美味しく、熟したフルーツ、リンゴ、そこで、ストゥルーデル、そして、カフェなどの香り。味は、かなりまろやかで、熟したフルーツがとてもきれい。マロングラッセと合うと言うので試したら、いやー、ぴったり!美味しかった。
そして、最後に「カルロ・ボッキーノCarlo Bocchino」。30年の良いヴィンテージをブレンドして造った看板もので、品種はネッビオーロ(バローロとバルバレスコ)、バルベーラ、モスカートのブレンド。最初、かなり閉じていて、だんだん開いてくると、ナッツ、柑橘、香草、タバコなど、どんどん出てくる。香りの変化がめまぐるしく、奥行があり、かなり複雑。味も、当然良い。もう、ここまで来ると、美味しかった!と言うだけにしておこう。
写真は、ずらっと並んだヴィンテージ・グラッパ6種。