在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

アルバーナ・ディ・ロマーニャ DOCG

2007-12-30 18:02:47 | イタリア・ワインABC
 Albana di Romagna DOCG
一度記事にしたが、今度は規定を入れてちゃんと。
こんなDOCGだが、結構思い入れのあるものなのである。

いまでこそ白のDOCGは結構な数があるが、ずいぶん長い間、白と言うと、ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ、アスティと、このアルバーナ・ディ・ロマーニャだけだった。それも、一番にDOCGになった白はこのアルバーナである。
ヴェルナッチャもアスティも、品質の良いものは多少あるとは言え、勘弁して~と言いたいワインが多く、アルバーナもご多分にもれず、という印象だった。
たしかに、アルバーナの辛口は、いくつかのワイナリーのものを除いて、ちょっとパスしたくなるものが多い。
しかし、デザートワイン、特にパッシート(収穫後、陰干しをしたブドウで造るワイン)は違う。全然違う。堂々と胸を張ってDOCG!と言えるものがあるのである。

エミリア・ロマーニャ州は、横に広がる形だが、西側がエミリア地方、東側がロマーニャ地方となる。
名前の通り、州の東側、ロマーニャ地方に生産地域がある。
品種は、これも名前の通り、アルバーナ100%。アルバーナという品種は、写真を見てみると良く分かるが、とにかく、だらーん、と縦に長い。そして、房がかなり大きい。良いワインができる品種の多くは、房が小さく、粒が締まっているが、それを念頭に入れると、残念ながら、これでDOCGワインを造るの??と疑いたくなる。しかし、そこで、やっぱりね、と思ってはいけない。確かに、辛口はお世辞でまあまあと言うが(ごめんなさい!)、パッシートには良いものが多々ある。つまり、アルバーナは意外や意外、陰干しに向いている品種なのである。
さて、アルバーナ・ディ・ロマーニャDOCGには以下の5つのタイプがある。
①  辛口secco 最低アルコール度12% =実際に、それほどアルコールの高くない、ほろ苦さのある、それと言って特徴のないワイン。
②  薄甘口amabile 最低アルコール度12.5% 残等分12~30g/l =やや甘口
③  甘口dolce 最低アルコール度12.5%(うち実際のアルコール度alcol effettivo 8.5%以上)残等分45~80g/l =結構甘口
④  パッシートpassito 最低アルコール度17% 陰干しは収穫の次の年の3月30日まで 陰干し後の糖分284g/l以上 翌年の9月1日以降の発売 =コハク色を帯びた黄金色で、良いものは、酸とのバランスが良い。
⑤  パッシート・リゼルヴァpassito riserva 最低アルコール度24%(うち実際のアルコール度alcol effettivo 4~11%)モストの段階で400g/l以上 翌年の12月1日以降の発売 =実際にはあまり見かけない。
イタリアの各協会が出すこういう規定を見ていて思うのは、チャート式にしてくれるとわかりやすいのになぁ、と思うことと、良く見ると、あれ?と思うことがあること。たとえば、残等分。残等分が35g/lだったら、②と③のどっちに入るんだろうなぁ。。。と深く考えないのがイタリア式。

いくつか良いワイナリーはあるが、ぜひ一度、ゼルビーナZerbinaのパッシート「スカッコマットScaccomatto」は試してほしい。チェス模様のラベルがトレードマーク。

アルタムーラのパン

2007-12-30 02:35:04 | もろもろの食べ物

Pane di Altamura -Puglia
日本人の中には、イタリアの主食はパスタだと誤解している人が多いが、それは大きな間違いである。では、主食は?と聞かれると、それはパン。
日本でご飯が欠かせないというのと同じように、イタリアでは、パンを切らせない。(と言っても、私は日本人なので、つい、買い忘れてしまうこともある。。)
イタリアのパンは、最近、だいぶ柔らかいパンが出てきて、昔と比べると随分変わってきたと思うが、基本的に日本でいう田舎風パンに近い。
大きくて、外側が固くて、重たくて、中はやわらかいが、しっかりした弾力があり、穴がぼつぼつと開いている。この手のパンは、やわらかい、ふわふわパンが好きな人には全く受けないが、味のあるパンが好きな人にはやめられない。
それでも、評判の良いパン屋とそうでないところがあり、イタリアのパンだからすべて美味しいとは言わない。

さて、異論はあると思うが、イタリアで最も美味しいと評判のパンは、プーリア州のアルタムーラのパンではないかと思う。
偶然であるが、我が家にアルタムーラの巨大なパンがごろごろと3つやってきた。(パンが歩いてきたわけではないが、偶然手に入れたので、やってきたというのがふさわしい状況である。)

アルタムーラは細長いプーリア州の北部、内陸にあり、世界遺産で有名なマテーラ(バジリカータ州)にごく近い。また、アルタムーラのパンは、れっきとしたDOP(Denominazione d’Origine Protetta)商品で、スローフードのプレシディオpresidio(保護食品)にも認定されている。重さは、2キロから5キロにもなるというかなり大きな円形のパンで、確かに、持つとどっしりした感じだ。パンだから、当然小麦作られているのだが、軟質小麦ではなく、二度挽き硬質小麦(セモリナ粉)を使用している。セモリナ粉は「黄金の小麦粉」と言われるが、その名前の通り色が黄色い。だから、アルタムーラのパンには、びっくりするほど色が黄色いものがある。
我が家にやってきたパンは(やってきたのだから、文句は言わないが)、DOP認定シールはなかったが、使われている材料は、前述の硬質小麦、塩、イースト、水となっている。DOPになると、さらに、小麦の品種の指定、塩は海塩を使用、出来るだけ薪を使った窯焼き(ガスもOK)など多くの規定が付く。また、形もぼてっと重なったごろっと丸い形のものと、「お坊さんの帽子」と言われる帽子型のものが基本の形である。


なお、アルタムーラのパンはかなり日持ちがする。そのまま置いておいても4-5日は十分美味しく食べられる。