在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

Il Top delle Guide VINI 2012 -Civilta' del bere

2012-04-05 17:30:14 | イタリア・ワインABC
この雑誌は結構好きである。結構ファンがいるのではないかと思う。
月刊になっているのは買わないが、Vinitalyに合わせて出る、ワインとレストランの特別号は機会があれば必ず買うことにしている。
数字マニアというか統計マニアというか、きっちりしていて笑える。イタリア的ではなく、なんか日本的?いや、ドイツ的と言ったほうがいいかも?

さて、ワインの年鑑本は、タケノコのようにとはオーバーだが、年々増えている。
年鑑だから(そして年刊だから?)1年に1回発行される。
そのうちのメインの6冊で評価をしている。ただ、この6冊以外にもいい本はあるし、この6冊だけで全て評価してしまうようなのもいけないと思うが、とにかく6冊をくまなく分析しているところが面白い。
ところで、以前は5冊の本だった。SlowfoodがGamberoから分離して6冊になったわけだ。


さて、Civilta' del bereの評価はこうである。
というか、この本は直接には何の評価もしていない。
評価本を分析して、評価しているのである。
各評価本には最もよいワインのカテゴリーがある。3 bicchieriや5 grappoliやらそれぞれ名前を付けている。そこに点数があるものもあるし、ないものもある。しかし、裏では、テイスティングをしたときに一応点数は付けられているわけである。だから、高点数で最もよいワインのカテゴリーに入ったもの、ぎりぎりで入ったものなどいろいろあるわけだが、そこには目をつぶる。
たとえば、今回、輝く2本に選ばれたワインのうちプーリアのものを見てみると、プーリアで最も点数が高かったワインではない。しかし、とにかく最高評価のカテゴリーに入ったのである。
この辺が、いわゆる「イタリア・ワイン・ベスト100」のような評価とは異なる。
各ワインを点数で評価するのではなく、だから順番を付けるわけでもなく、最高カテゴリーに入った数で競っている。

今年のベストワイン、つまり6冊すべての本で最高評価のカテゴリーに入ったワインは2本。たった2本と言って良い。何故なら、6本とか8本とか選ばれている年があるからだ。


サッシカイアはわかる気がする。
ESは実は、その昔、飲んだことがある。
凄いワインがあるからと誰に言われて飲んだ。名前は完全に忘れていたが、ラベルを覚えている。なんか、派手というか、こういうラベルを考える人がいるのだと思ったことも覚えている。(これもひとつの戦略?)
そして、ここ数年、水面下で、話題になっていて、しかし未だに飲む機会がないでいる。
しかし、2本のうちの1本がプーリアという土地のワインであることは面白い。
プーリアのワインというと安かろうで、良いものがあっても高いお金を払いたくないという人が多い。これがバローロやブルネッロなら平気で払うのに。
これを機会に、プーリアの高品質ワインが注目されるようになれば、個人的にはとてもうれしい。

そして、サッシカイア。
個人的には思いいれのあるワインである。
タキス氏はもう引退してしまったが、何度もセミナーで見た。
なんて素晴らしい人物、と今でも思う。
心からワインを愛し、奢ることなく、真面目で、心優しい。
だから、サッシカイアは大好きなワインである。
しかし、冷静に評価すると、例えばトレンティーノの某ワインの方が美味しいかもしれないと思う時もある。ヴィンテージによっても違うから断言するわけではないが、この某ワインはなんと2つの本で外している。(こういうところが、ワインは本当に面白いと思う)
こんな感じで、最高のカテゴリーを外してしまう本が出てきてしまうと、ここでは評価が下がってしまうと言うわけである。

だから、絶対的な評価ではないが、こんな感じでカンティーナで、また、過去3年の評価を分析していて、参考にするには実に面白い。
ただ、日本では手に入らないと思うが。

Poggio della Costa -Sergio Mottura 2010

2012-04-05 08:57:28 | Piemonte ピエモンテ
”ポッジョ・デッラ・コスタ” セルジョ・モットゥーラ 2010 -ラツィオ州

ひさびさにモットゥーラを飲んだ。懐かしい。
ラツィオ州の北に位置し、ローマからは行きやすい。
そこで、ワインの勉強を始めた頃、最初に訪れたワイナリーのひとつである。
小さなワイナリーだが、モットゥーラ氏が非常に好感の持てる人物であること、メトド・クラシコのスプマンテを造っているが、その蔵、かわいらしいアグリなど、とても印象的だったのでよく覚えている。
そして、いつ見てもかわいいハリネズミのラベル。

品種はグレケット。そして、裏のラベルにビオのブドウを使っているとの記載があるように、ビオワインである。

濃い目の麦わら色でとてもきれいなつやがある。
柑橘の香りがとてもきれい。グレープフルーツやレモン、レモンの葉、白から黄色の花の小さな花束、ミネラルがたっぷり感じられ、また、香草の緑がアクセントを加える。そして奥にスパイス風の香り。
味はまろやかで、インパクトがよい。ボディもあり、塩味が効き、ほろ苦さとまろやかさが交互に長く持続する。(87点)