在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

”バローロ 1967” ボルゴーニョ

2007-12-10 22:43:29 | Piemonte ピエモンテ
“Barolo 1967” Borgogno –Piemonte
「リステListe」ではない、普通のボルゴーニョのバローロである。白ラベル、と呼ぶ方。
昔、ボルゴーニョと言うと、バローロの大御所であり、そうかぁ、これがバローロかぁ、と思ったものだ。しかし、その後、バローロボーイズの出現もあり、モダンバローロがもてはやされるようになると、おお、こんな飲みやすいバローロもあるんだ、と感動したものだ。しかし、それに飽きる時が来る。表面だけ繕ったバローロは面白くない。(もちろん、中身が伴えば別の話だが。)そして、再び、クラシカルなものに戻っていく。
少し前にボルゴーニョの「リステ1997」を飲んだ時、美味しかったのであるが、これこそ10点満点のワインだ、と言われ、びっくりした。と言うより、かなり考え込んでしまった。ガンベロ・ロッソのトレ・ビッキエーリもAISのチンクエ・グラッポリも関係ない。以来、ボルゴーニョは気をつけて飲んでいるが、確かに、凄い。
1967年ヴィンテージ。つまり、40年たっていることになる。40年は、かなりの年月である。これだけの年月を保てるイタリアワインがいったいどれだけあることか。
色は、40年の歳月を全く感じさせない。中心はガーネット色で、爪は薄く、オレンジ色である。つやもあり、かなりきれいな色である。澱もない。(もちろん、ボトルによってはあるのだろうが。。)
香りは、40年を経ているので、かなり臭みを帯びている。しかし、これが良い。良い熟成を感じさせる。革、アニマル臭、汗、ブロード(コンソメ)、腐葉土、キノコ、ショウガ、バルサム臭balsamico、そして、ミント、鉄分、血、柑橘系の香りなど。かなり変化が大きく、とても複雑。
味は、インパクトがするっと優しい。タンニンはまだ感じられる。当然、酸が際立ち、そこに塩味が加わる。持続性も良く、さすが、の一言。ここまでくると、分析するより、今の瞬間を楽しみたくなる。
他にも良いバローロはあるが、バローロの醍醐味を十分味あわせてくれるワインである。

”バローロ 2001” バルトロ・マスカレッロ

2007-12-09 08:37:33 | Piemonte ピエモンテ
“Barolo 2001” Bartolo Mascarello –Piemonte
単一畑ではないので、シンプルに「バローロ」である。単一畑がどこでも(イタリア中)流行っているが、ブレンドすることで、単一畑にはない良さが出せると信じて造っているワイナリーもある。(ガヤもそうであるが。。)嬉しいことである。ブレンドは4つの畑から。
久しぶりにマスカレッロを飲んだ。今回はボルゴーニョが一緒だったので、やや控えめな態度(?)となったが、やはりマスカレッロらしい良さがある。
色は、クラシカルなバローロの色。薄めのガーネット色で、爪にはオレンジ色がかった感じが見える。
香りもクラシカルなバローロらしい。やや臭みがあるが、これが心地よい。革、ドライのスミレ、鶏のブロード、ポルチーニなどのキノコ、ミント、血の香り、つまり鉄分、腐葉土など。かなり複雑で良い。香りの変化も十分ある。
味は、インパクトが優しい。自然のワインに多く感じられる優しさ、心地良さである。そして、酸+塩味がとてもきれに出る。後味もエレガントで、とても魅力的である。
熟成は、この場合(正統派伝統的バローロとして)当然、スロヴェニア産の樫の大樽を使用し、32か月。なお、発酵にはセメントタンクを使用している。

”バローロ ・カンヌビ2003” キアラ・ボスキス‐ピーラ&フィーリ

2007-12-09 08:29:51 | Piemonte ピエモンテ
“Barolo Cannubi 2003” Chiara Boschis-Pira & Figli -Piemonte
100年以上の歴史を持つワイナリーだが、バローロボーイズ、つまりモダン派バローロである。しかし、行き過ぎていないところ、モダンにエレガントが加わるところが良い。
品種は、当然ネッビオーロ100%。カンヌビの畑はバローロ村にある。
色は、バローロが普通ガーネット色を帯びているのに、全体がルビー色で、爪にほんのりガーネットが出ているくらい。
香りは、やはりモダン。バローロらしい控え目な華やかさがある。花の香りが強く、バラ、スミレなど。甘く、心地良い。他、ミネラル臭、スパイス臭、リコリース、丁子、コショウなど。フルーツは柑橘もあり、シチリア産ブラッド・オレンジ風か。新樽バリックで24ヵ月の熟成の割には木がそれほど強くなく、バランスが良い。香りの変化、程よくあり。
味は、インパクトがやはりきれい。柔らかさがあり、さすがモダンバローロ、すぐにも飲める。タンニンは柔らかく、バニラ香が感じられる。味わいも全体にモダンな感じが出る。
モダンバローロでも、これくらい木のバランスが良いものは早くから美味しく飲めるし、嬉しい。おお、Duemiolaviniで5グラッポリ(ぶどう5房)を取っている。確かに、この若さでこの味を出していれば、評価にはかなり有利である。

グラッパ ボッキーノ 5種

2007-12-01 07:20:45 | Piemonte ピエモンテ
Bocchino -Piemonte
グラッパの試飲会ならいい(遠慮します、の意味)と言う人は多いようで、いつものワインの試飲会と比べると参加者が少ない。確かに、グラッパをどんどん出されても、ワインのようには飲めないし、もったいないなんて思って飲んだら、当然酔っぱらう。残念ながらグラッパは、試飲会をするには不便scomodoと言える。
私も、グラッパならいい、と最初言ったが、ピエモンテから生産者は来るし、ヴィンテージものがあるし、面白いからぜひ来てほしいと言われ、参加したが、実に面白かった。
グラッパは北イタリアに集中して蒸留所があるが、ボッキーノは、ピエモンテのカネッリにある。カネッリはモスカートの生産地域である。
1898年創業、来年は110年を迎えるというボッキーノ。モスカートのグラッパ2種、ヴィンテージもの2種、そして、看板グラッパ1種の計5種を飲んだ。
ところで、生産ラインは3つ+1つある。
一番手軽なラインが「ジェンメ・ディ・ヴィナッチャGemme di Vinaccia」。樽熟モスカートを試飲した。一番下のラインということで、フツウのグラッパに近いと思ったら全然違った。よくある洋梨、リンゴなどの香りは全くなく、藁、草fieno、野菜系の香りが出ていた。味は、最初はまろやかだが、超辛口で、コショウ、唐辛子を感じる。
次のラインが「ソルキSolchi」。瓶のデザインがとてもきれい。これもモスカートを試飲したが、香りに、最初、ぴりっと白コショウ、そして、シナモン、noce moscato、蜂蜜、香草、薬草などが出てくる。香りの変化がかなり大きい。味はまろやかで、蜂蜜と干しイチジク。
次に、グラッパのヴィンテージもの。1975年から1996年、6ヴィンテージのうち、1996年、1989年を試飲した。品種はネッビオーロ(バローロとバルバレスコ)とモスカートのブレンド。1996年が、一番フツウだった。フレッシュな洋梨、リンゴの香りに、味も柑橘の皮など。1989年はかなり美味しく、熟したフルーツ、リンゴ、そこで、ストゥルーデル、そして、カフェなどの香り。味は、かなりまろやかで、熟したフルーツがとてもきれい。マロングラッセと合うと言うので試したら、いやー、ぴったり!美味しかった。
そして、最後に「カルロ・ボッキーノCarlo Bocchino」。30年の良いヴィンテージをブレンドして造った看板もので、品種はネッビオーロ(バローロとバルバレスコ)、バルベーラ、モスカートのブレンド。最初、かなり閉じていて、だんだん開いてくると、ナッツ、柑橘、香草、タバコなど、どんどん出てくる。香りの変化がめまぐるしく、奥行があり、かなり複雑。味も、当然良い。もう、ここまで来ると、美味しかった!と言うだけにしておこう。
写真は、ずらっと並んだヴィンテージ・グラッパ6種。