乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

桜に思う 2

2009-03-20 | 民俗考・伝承・講演

 

   桜に思う 2

 

 さくらに思う 1 2009/2/27 ↓

http://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/07a096d2d485cff74934ef2b1b9b65d5

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 某民俗学学者の花見に関するエッセーを読んだ。

 それは、桜という植物の分布は広いが、その花見の文化圏は日本に限られるといったものであった。

 花を観賞する仕法が日本的だとおっしゃるのだ。

 

 ほほう・・・。

 桜は 韓国の鎮海というところが世界一美しく数多いことは熟知の通りだが、日本のような花見はないのか・・・?

 

 花を生け 盆栽を作り 花を愛する日本文化は優れたとした上で、桜への過熱的な花見と、某先生にはうつるらしい。

 よその家の生け花や、野生の花に無関心な人たちが桜の満開の下に席を先取りしてまで宴会をする人たちに、冷ややかな感情を投げかけておられた。

 まず花を愛する心「美覚」を高め、美的生活を定着させるべきだと考えておられる毅然としたエッセーは、エッセーとしては好ましく感じる。

 だが、たとえエッセーとはいえ 書物を多く出版されている偉大な先生の影響力は大きい。

 研究者は難しい立場にあるのだなと、ふと感じた。

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 某先生は『花見の本質へ戻って考えてほしい。』と、結んでおられた。

 では、花見の本質とは、一体何か。

 古くは『古事記』にも、花見の様子は残されていると知人に聞いた。

 また、宮田登氏などの記述では、山の神に酒を捧げ、食べ物をともにするといったような内容も書かれていた。

 春になって桜の木に降りてきた神様を料理と酒でもてなし、人間も一緒にそれをいただくことが、花見の本来の意味と記されていたことを思い出す。

 つまり一言で言うと、花見の元々の由来は、古代 神と考えられていた山に入り、どんちゃん騒ぎすることに意義があるとも言えるのかも知れない。

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 では何故『桜』なのか。

 日本人は桜の花を稲の花に見立てて、秋の収穫の占いをしていたという。

 つまり桜によって五穀豊穣を願ったとも言えるのではないか。

 

 山の神に咲いた満開の桜。

 枯れ木が赤白(桃色)に染まる。

 日本人も『赤』『白』という色も特別に感じていたはずである。

 血潮、女性・・・。

 さすれば 五穀豊穣に加えて 不老長寿、子孫繁栄をも無意識に願っていたと考えても、おおむね間違いではないかも知れない。

 

 桜は花も葉も幹も生活に使える恵みの植物とも言える。

 桜は枯れ木に花を咲かせ、一気に花を落としたかと思うと、新緑。

 厳しい生活に生きる山間の生活者にとって、桜は希望の植物だったような気がしてならない。

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 私は中国の雲南省や韓国の鎮海などでは花見に似たような祭りや神事や習慣などがあるのではないかと、勝手に考えている。

 現に雲南省では桜ではなく菜の花の季節には花祭りが祝われるという。

 雲南省といえば菜の花の棚田をも思い浮かべる。

 菜の花祭りといえば五穀豊穣につながるのだろうから、意味合いとしては、日本の花見に通じる部分があると思われる。

 だが、主婦の無学の私には、全く確証が持てない。

 どなたかご存じの方がございましたら、教えていただけましたら嬉しいです。

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追記 (乱鳥)
2009-03-22 23:59:45
そうか・・・、やはり そうだったんだ!

戦後韓国は桜が日本帝国の象徴物に類似した内容は 植民地云々の形をとって、私も『桜に思う1』で記録していたように思う。

桜の木を切った『殺桜現象』から転じたナショナリズムだったのだな。
つまり『民俗』ではなく『民族』の方向から考えられていたのだ。

やはり素晴らしい先生だ!
尊敬に値する方だ。

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39: 明治大学公開文化講座 XIV『文化における「異」と「同」』 風間書房

2009-03-20 | 読書全般(古典など以外の一般書)

(写真はイランのペルセポリス。

 ペルセポリスの内外の外れたところにも遺跡跡は多い。

 安全を確保、確信した上で、一人でこういったところを歩くと、すこぶる愉快。)

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2009年度 39冊目  

 

 明治大学公開文化講座 XIV 

  『文化における「異」と「同」』

 

 発行 明治大学人文科学研究所   

 風間書房

 平成7年6月20日 第1版発行

 700円+税

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 今日二冊目は、『文化における「異」と「同」』

『文化における「異」と「同」』は朝から読み始め、火事の合間合間をぬぐって楽しむ。

 今、昼の12時45分。

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 この本は奈良の広陵町図書館から借りていただいた。

 心の底から、感謝。

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『文化における「異」と「同」』は内容的に、私の興味のある話しも、多かった。

 

 一 旧植民地を訪ねて

    -満州と台湾の少数民族-  中生勝美

 二 異質なる者との出会い

    -漱石の英国・ハーンの日本-  池田雅之

 三 アメリカの黒人文学の原点を求めて

                    関口功

 四 漂泊から定住へ

    -柳田國男の前期思想をめぐって-

                   赤坂憲雄

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 中生勝美さんの 一 旧植民地を訪ねて-満州と台湾の少数民族- は日本の残した傷跡に触れるといった重い言葉が印象的。

 中国やイランやトルコなどで少数民族の方たちに触れる機会も何度かあったため、非常に興味のある内容だった。

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 池田雅之さんの 二 異質なる者との出会い -漱石の英国・ハーンの日本- では、ハーンに感心あり。

 ハーンの書斎は興味があったので、以前見に行った。

 付け加えておこう。 

 ハーンはご存じの通り 小泉八雲のこと。

 ギリシャ神話の中の植物神とか樹齢神を日本にも見出し、作品をつくりあげたといった部分が、興味深い。

 確かに、ギリシャ神話のように古くに残されていたわけではないが、日本にも植物にまつわる話しは多く残され、今も浄瑠璃や歌舞伎などに残されている。

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 待ってましたの 赤坂憲雄先生

http://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/7e06810595e3150f84daa4f4f8a7c745 『民俗を織る旅』

http://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/946a6790eb0a401c9c53456564cd2be3 『境界の発生』

の 四 漂泊から定住へ -柳田國男の前期思想をめぐって-。

 とても興味深い。参考になる部分が多く、面白かった。

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 今回も記録のみにて 失礼申し上げます。

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38: 明治大学公開文化講座 XV『越境する感性』  風間書房

2009-03-20 | 読書全般(古典など以外の一般書)

記録だけ  

 

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2009年度 38冊目  

 

 明治大学公開文化講座 XV

  『越境する感性』

 

 発行 明治大学人文科学研究所   

 風間書房

 平成8年3月20日 第1版発行

 800円+税

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 昨夕読み始めた『越境する感性』。

 早朝に起き、今朝6時に読了。 

 この本も大阪府立図書館から借りていただいた。

 

『越境する感性』は

 一 「出家」後の問題

    -悟りと超能力-   三浦清宏

 二 スペイン語圏における日本文学の受容  

                 オエスト・ロベルト

 三 『夕鶴』からの問いかけ   菅井幸雄

 四 外から見た日本的感性    マーク・ピーターセン

などをテーマにした公開講座をまとめたもの。

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 三浦清宏さんのお話は、或意味! かなり面白くて 笑い転げた。

 私の笑いの壺にはまりこんでしまい、我慢できない。

 あまりにおかしいので、声を出して読んでいると、余計に笑いがこみ上げてくる。

 あまりに楽しそうだったものだから、息子が部屋を除きにくる。

 面白いテレビでも見ていたのかと思ったそうだ。

 明治大学公開文化講座の本を読んで、こんなに笑い転げる人もいないだろうと、不思議がる。

 食事の時、ほんの内容やその旨家族に話すと、みんな楽しそうだった。

 こういった先生のお話は、内容にかかわらず好きだな・・・。

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 菅井幸雄さんの 三『夕鶴』からの問いかけ は興味深かった。

 民話『鶴の恩返し』からドラマ『夕鶴』へ (96~)の民話のもつ七つのパターンは参考になった。

 1恩返し-結婚生活

 2脅かすもの-人間

 3収入からの心変わり

 4苦悩-見ないで

 5機織

 6のぞき

 7離れ

 

 5機織は繭にも通じるものを感じ、女の一生を思わせる。

 4苦悩-見ないで→6のぞき→7離れといった『見るな』のパターンは民話には数多く、興味深い。

 以前 チョコボールのキョロちゃん人形を使って遊んで作ったお話(http://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/e551ab488caec7b6f8dde5da17e9a8c3『お ん な』)images を思い出す。

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 本日も、記録のみにて失礼いたします。

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