乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

『疱瘡心得草』18 17丁裏 18丁表 志水軒朱蘭 述 

2020-07-12 | 疫病:疱瘡心得草 他



    『疱瘡心得草』18 17丁裏 18丁表 志水軒朱蘭 述 



 『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述
 一冊
 出版 蓍屋善助
 寛政10 [1798]
 国立国会図書館デジタルコレクション 
 請求番号 852-26

 
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 『疱瘡心得草』

 

 

 

国立国会図書館所蔵
17丁裏

麻疹(はしか)の熱(ねつ)も傷寒(しやうかん)に似(に)て、たゞ咳(しわぶき)、嗽、頻(しき)

りにして、声(こへ)うれて出(いで)ず、咽(のど)はれ、痛(いた)み乾(かわ)き、のんど

唱(うつ)して湯水(ゆみづ)を呑(のむ)事(こと)、かぎりなし、熱(ねつ)ある事、一日にし

て、からだ、皮(かわ)の中(なか)に寸地(すんぢ)もなく出(いで)て、蚤(のみ)蚊(か)のさしたる

様(やう)に、其跡(あと)或(あるひ)ハ粟(あわ)つぶなどのごとく出(いでゝ)後(のち)、熱(ねつ)さめ、半(はん)日

又ハ 一日半、二日にして 麻疹(はしか)おさまるものハ、順(じゆん)

にしてよし、麻(はしか)(はしか)ほと折(おり)の時(とき)、よき医者(いしや)を頼(たの)み業を

服(ふく)さすれバ、その毒汗(どくあせ)にしたがつて出安(でやすく)し、発熱(ほつねつ)の時(とき)

に、外ハ風寒(ふうかん)にあたり、内(うち)ハ ひへもの、生物(なまもの)などを食(しよく)する

事(こと)、かたく無用(むよう)也、病者(びようしや)、内ねつする故(ゆへ)、生物(なまもの)、 ひへもの

 

咳嗽(しわぶき)

 咳き(しわぶき)[名](スル)

 1 せきをすること。また、せき。「病室から軽い咳きが漏れる」

 2 わざとせきをすること。せきばらい。「メエルハイムは―して語りいでぬ」〈鴎外・文づかひ〉

 嗽(うがい うがひ)

 [名](スル)水や薬液などを口に含んで、口やのどをすすぐこと。含嗽 (がんそう) 。「食塩水で嗽する」「嗽薬」

咳嗽(しわぶき)

 咳をし、うがいをすること。

のんど

 喉 咽

唱(うつ)して

 唱 1となえる。㋐うたう。吟ずる。㋑よみあげる。声高く読む。㋒言い始める。先に立って言う。2うた。歌曲。

内(うち)熱  正確には内熱(ないねつ)

 陽気が相対的に過剰となり体内に生じる熱のことです。実熱と虚熱があります。



国立国会図書館所蔵

18丁表

を好(この)むにより、禁制(きんせい)をおかして、内外(うちそと)より冷(ひへ)て疹子(はしか)

出(で)る事なく、悪症(あくしやう)に変ずるもの也、たゞ衣類(いるい)をあつく

着(き)て、汗(あせ)を出(いだ)し、防(ふせ)ぐべし、疹子(はしか)ほとおりの時(とき)、咽(のど)の中(たち)

腫(は)れ飲(のみ)くひ入(い)りがたし、甚(はなハ)だ急症(きうしやう)也、うろたへて咽(のど)

に針(はり)する事(こと)、無用(むよう)也、是(これ)疹子(はしか)の火毒(くわどく)さかんなる故(ゆへ)也、

熱(ねつ)を解(げ)す薬(くすり)を用(もちひ)、水(みづ)煎(せん)じて服(ふく)すべし、或(あるい)は寒(かん)の水(みづ)

臘雪(きよねんのゆき)をたくわへて服(ふく)すべし 其(その)しるし、妙(めう)也 疹子(はしか)の

熱(ねつ)さかんなる時(とき)、冷水(ひやみづ)或ハ梨子(なし)、蜜柑(みかん)、熟柿(じ行くし)などを

食(くろ)ふ事(こと)多(おゝ)くして、はしか収(おさま)りて痢病(りびやう)に死(し)する

類(るい)あり、何程(なにほど)渇(かわ)くとも、湯(ゆ)をあたへて 冷(ひや)ものを飲ま

 

疹子(はしか)ほとおり
 麻疹ほとぼり
 
臘雪(きよねんのゆき)  (ろうせつ)
 臘雪〘名〙(ろうせつ)陰暦12月に降る 
 臘雪〘名〙(ろうせつ) 臘月に降る雪。陰暦一二月の雪。
 ※田氏家集(892頃)中・哭舎弟外史大夫「本自堅貞凌臘雪、何因消化軟春氷」 〔劉禹錫‐送陸侍御帰淮南使府詩〕
 
 臘月(ろうげつ)
 陰暦十二月の異称
 季節 冬

臘(ロウ くれ)

 ①冬至のあと、第三の戌(いぬ)の日に行う祭り。「伏臘」 ②くれ。年のくれ。陰暦一二月の異名。「臘月」

 旧臘(キュウロウ)伏臘(フクロウ)臘月(ろうげつ)臘日(ろうじつ)、臘梅(ろうばい)

臘雪(きよねんのゆき)

 本来「ろうせつ」と読むべきところを「きよねんのゆき」とふりがながあるのは、「去年(暮れ)の雪」という意味か

 

 
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一角(うにこうる)は古より痘に薬なりと云う事あり、しかし一角(うにこうる)ハ 毒けしの物にて、痘には妙なり、夫故に発熱より 鮫にておろし、両三度程づゝ白湯にて用ゆべし

2020-07-12 | 疫病:疱瘡心得草 他
 写真は、道頓堀。芝居がみたい!芝居の禁断症状が出てきそうです^^
 
 
 
 
 一角(うにこうる)は古より痘に薬なりと云う事あり、
 しかし一角(うにこうる)ハ  毒けしの物にて、痘には妙なり、
 夫故に発熱より  鮫にておろし、両三度程づゝ白湯にて用ゆべし
 一角(うにこうる)
 
 
 
「一角」と書いても、「一角魚」と書いても「うにこうる」と読む一角魚。
 
 
 江戸時代に書かれた『疱瘡心得草』に後半にも「うにこうる」は出てきたが、漢字で書くと「一角」
 
『そりゃまった、どうしたこってぃ』
と、助六のように床を蹴りつつ「うにこうる」を思い浮かべる。
 
 

 一角(うにこうる)を検索すると、 同志社女子大学 表象文化学部・日本語日本文学科 教授 吉 野 政 治氏の論文『日本における一角獣の行方』にたどり着く。

 それには、今でも一角を含む小児丸薬が売られている(1996)とある。

 一角を含む小児鎮静剤は六種売られ、多くは富山で製造されている。

 又、『徳川実記』の承応二年〔1653〕一 月十五日に将軍家綱に「一角一本」が献上されたことが記されているとのこと。

 

 中里介山著『大菩薩峠 26 めいろの巻』(新字新仮名)では次のように書かれている。
 “うにこうる”の漢字
 (注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
一角 
 刺鮫  はりざめというのは相当に大きな奴で、夜、海の中を行くと、白い光が潮に透って見える、こいつは舟をくつがえしたり、人を食ったりする怖るべき奴で、舟乗りはこいつにでっくわす鰹を投げやって逃げる。 
 この刺鮫も頭に角のあるというのを聞かない。 
 一角魚(うにこうる)の角は、角というよりは 嘴(くちばし)だ。
 
 
 

 最後に、 「一角(うにこうる)の事」と題して記された効用を抜き出してみたい。

 

古(いに)しへより痘(いも)に薬(くすり)なりと云(いふ)事あり、しかし一角(うにこうる)ハ

毒(どく)けしの物にて、痘(いも)には妙(みょう)なり、夫故(それゆへ)に発熱(はつねつ)より

鮫(さめ)にておろし、両(りやう)三度程(ほど)づゝ白湯(さゆ)にて用ゆべし

 

 これは疱瘡だけでなく、コロナウイルスを消滅させる効果があればいいのだが。

 残念。

 せめて苦しい時の神頼み。

 クワバラクワバラと両手で祓い、コロナを退散させたい。(にゃっはっは)




 『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述
 一冊
 出版 蓍屋善助
 寛政10 [1798]
 国立国会図書館デジタルコレクション 
 請求番号 852-26

 
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 『疱瘡心得草』

左右

   一角(うにこうる)の事

古(いに)しへより痘(痘)に薬(くすり)なりと云(いふ)事あり、しかし一角(うにこうる)ハ

毒(どく)けしの物にて、痘(いも)には妙(みょう)なり、夫故(それゆへ)に発熱(はつねつ)より

鮫(さめ)にておろし、両(りやう)三度程(ほど)づゝ白湯(さゆ)にて用ゆべし、扨又

柳(やなぎ)の虫(むし)も痘の毒を肌(はだ)の外(ほか)へ追(お)ひ すかす の功(こう)有、

此品(しな)もはやく用ゆべし、又 煎(せん)じて虫(むし)を去(さ)り呑(のぬ)べし

又テリアカの類(るい)、痘(いも)の妙薬(めいやく)也、良薬(りょうやく)あまた有と

いへども、用ひがたし、痘(いも)は薬(くすり)を用(もちい)て害(がい)ある事(こと)有

悪(あ)しき痘(いも)になれバ、薬(くすり)も益(えき)なし、中痘(ちうとう)ハかへつて

薬の道にあやまる事あり たゞ大切に慎むべし

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