乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

歌舞伎『巷談宵宮雨(こうだんよいのみやのあめ)』 5★/5 昭和56年・十七世中村勘三郎、中村吉右衛門、七世中村芝翫

2020-09-09 | TVで 歌舞伎・能楽

 

『巷談宵宮雨(こうだんよいのみやのあめ)』昭和56年・十七世中村勘三郎、中村吉右衛門、七世中村芝翫

 

 十七世中村勘三郎、中村吉右衛門、七世中村芝翫の『巷談宵宮雨(こうだんよいのみやのあめ)』を見た。

 十七世中村勘三郎の大胆でエネルギッシュな演技と七世中村芝翫の表情の移り変わりの見事さに見とれる。

 また、『巷談宵宮雨(こうだんよいのみやのあめ)』の話の面白さに、大笑いの連続で楽しい時間を過ごすことができた。

 演目自体の結末は取り上げるに足らないが、十七世中村勘三郎の目力を含めた表情で締めとなる。

 

 七世中村芝翫の演技が好きな私にはたまらない一作品。 

 

 今回も簡単な記録のみにて失礼いたします。

 

 

『巷談宵宮雨(こうだんよいのみやのあめ)』(日本大百科辞典)

 宇野信夫(のぶお)の戯曲。

 2幕8場。

 1935年(昭和10)9月歌舞伎(かぶき)座で、6世尾上(おのえ)菊五郎、6世大谷友右衛門(おおたにともえもん)、3世尾上多賀之丞(たがのじょう)らで初演された。

 作者得意の江戸の市井に材をとった世話物の新作歌舞伎。

 生臭(なまぐさ)坊主の竜達は、牢(ろう)を出たあと甥(おい)の太十夫婦の家にやっかいになる。

 太十は悪党の遊び人で、竜達の娘おとらを妾(めかけ)奉公に出すような男だが、竜達がどこかに隠している100両の金が目当て。

 しかし、竜達も一筋縄ではいかない。この強欲同士のやりとりから、ついに太十夫婦が竜達を殺し、自ら滅びるまでが、八幡宮(はちまんぐう)の宵宮を背景に、怪談咄(ばなし)の構成でつづられている。菊五郎の死後は竜達を17世中村勘三郎が当り役としてしばしば上演している。[水落 潔]
『『巷談宵宮雨』(1968・青蛙房)』

 

 

宇野信夫

 埼玉県本庄市生まれ、熊谷市育ち、その後浅草で暮らす。

 本名信男。埼玉県立熊谷中学校(現:埼玉県立熊谷高等学校)、慶應義塾大学文学部国語国文学科卒業。

 父は埼玉県熊谷市で紺屋・染物屋を営んでいて、浅草に東京出張所と貸家(蕎麦屋と道具屋)を持っていた。

 中学を出た後は、その出張所から大学に通い、卒業後もそこで劇作にいそしみ、1944年まで住み続けた。

 その時代に、まだ売れていなかった、のちの古今亭志ん生ら貧乏な落語家たちが出入りして、彼らと交際した。

 

 6代目三遊亭圓生とも交友が深かった。新作落語をいくつか創作したが、サゲは噺家に一任した。

 1933年、『ひと夜』でデビュー。

 

 1935年、6代目尾上菊五郎のために書いた『巷談宵宮雨』が大当たりし、歌舞伎作者としての地位を確立する。

 以後も菊五郎のために歌舞伎世話狂言を書き、戦後は、1953年、2代目中村鴈治郎、中村扇雀(現:4代目坂田藤十郎)のために、長らく再演されていなかった近松門左衛門の『曽根崎心中』を脚色・演出し、現在も宇野版が上演され続けている。

 1965年、個人雑誌『宇野信夫戯曲』を創刊、1977年まで続いた。 1972年、日本芸術院会員。1985年、文化功労者。

『宇野信夫戯曲選集』全4巻があるほか、ラジオドラマ、テレビドラマ、時代小説、随筆、落語、言葉に関する著作が多数ある。 国立劇場理事を務め、歌舞伎の演出、補綴、監修を多く行い、「昭和の黙阿弥」と称された。

 

 

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『近松門左衛門全集』より第十巻 『日本振袖始』4 近松門左衛門作 

2020-09-09 | 近松門左衛門

 

 

『近松門左衛門全集』より第十巻 『日本振袖始』4 近松門左衛門作

 市川猿之助第十二回春秋会公演『日本振袖始』猿之助、右近、玉三郎(2012)を見て、序詞の一部を読む^^

 

 

『近松門左衛門全集』より第十巻 『日本振袖始』

 

  

 

 

 

 P. 388

 2オ

打あがめ、二柱の御神始(はじめ)給ひし夫婦の道をこのむハ
 
ひがごとながら、去年(こぞ)の冬豊(ふゆとよ)の明(あかり)の燎(にわび)の影。かいまみし
 
面影の身に立ちそひて忘れられず、露のかことに名を
 
きけバ、大山祇(やまづみ)の臣(しん)娘とや、深山の立木野べの
 
草なびかぬ方ハなけれ共、引にひかれぬ恋草(ふし)の、種
 
を誰かハ植(うへ)そめしと、高きいやしき恋の曲(くせ)、うき世、
 
恨(うらみ)の御詞、児屋の臣を始、伺候の群臣(ぐんしん)一同に、こハ勿(体なき)
 
 
 
 
ひがごと (僻事)
 
 道理にあわないこと。事実にあわないこと。不都合なこと。
 
 
冬豊(ふゆとよ)
 
 
燎(にわび) (庭燎 にわび)
 
 祭場で焚く篝火。
「ていりょう」ともいう。
 特に宮中で神楽のときに焚く篝火をいう。
 神を招くとともに,照明の役をももつ。
 
 
かこと(託言 たくげん)
 
  ① ほかのことにかこつけて言う言葉。 口実。
 
かこと(託言 たくげん)
 
 1 他のものにかこつけた言葉。口実。

 2 ことづて。伝言。

 

大山祇(ウやまづみ)

 大山津見神(おおやまつみのかみ)は、日本神話に登場する神。

   『古事記』では大山津見神

   『日本書紀』では大山祇神

    他に大山積神、大山罪神とも表記される。

 別名 和多志大神、酒解神。

 1972年8月調査では、神社本庁傘下の神社1万318社のうち、85%が「大山祇神」、9%が「大山津見神」、5%が「大山積神」と表記する。 (ウィキペディア)

 

曲(くせ)   (癖)

1 (ふつう「クセ」と書く)

  謡曲で、曲舞 (くせまい) から取り入れたといわれる部分で、1曲の謡所 (うたいどころ) ・舞所のこと。

  能ではシテの動きから居曲 (いぐせ) と舞曲 (まいぐせ) に分ける。

 2 他の名詞の上に付いて複合語をつくり、偏った、正しくない、などの意を表す。

 「曲者 (くせもの) 」「曲事 (くせごと) 」

 

 

 
 

  日本振袖始 近松門左衛門

 序詞

 天照大神に奉らる、四(う)月、九(なが)月の神御衣(かんみぞ)ハ、

 和妙(にぎたへ)の御衣(みぞ)広さ一尺五寸、荒妙(あらたへ)の御衣(みぞ)広さ

 一尺六寸、長(たけ)各(おの/\)四丈(ぢやう)、髻(おんもと)糸(ゆし)頸(うな)玉手玉足の

 緒(お)のくり返し、神代の遺風(ゐふう)末の世に、恵をおほふ

 秋津民(たみ)、ちはや振袖広戈(ぼこ)の国、たいらけく御(しろしめ)す、

 天照大臣(てんせうだいじん)の御孫(みまご)、天津彦火瓊ゝ

 杵(あまつひこひこほのににぎ)の尊(みこと)と申こそ

 

「代ゝに王(きみ)たる、始なれ、久方の日の神の御影移りし

 八咫(やた)の鏡、是を見る事、吾を見るがことくせよと

 の神勅(ちよく)にて神あハれみの仁の道、百王の後迄も

 内待所とあがめらる、扨又、御先祖伊弉諾の尊より

 御相伝の十握(とつか)の宝剣、是勇(ゆう)の形(かたち)、義の理(ことハり)、御伯父(おぢ)

 素戔嗚(そさのお)の尊、たけくいさめる御器量とて、此宝剣

 を預り、王を後(うしろ)見ましませバ、神璽(し)に不測(ふしぎ)の礼知有、」

 

 三種(じゆ)の宝の神(しん)徳に、家にたのしみ、野に耕し、

 手うつてうたふ土民(どみん)迄、式(のり)を超(こへ)さる玉垣(うがき)の内

 つ、御国そ道廣き、 卅二臣の棟梁(とうりやう)、藤原の大祖天津(あまつ)

 児屋(こやね)の臣(しん)、御前に正笏(しょうしゃく)し、王(きみ)既(すで)に宝祚の御位、天下

 万民の父母たる御身、夫婦いもせの道かけてハ、王道い

 かゞ行(おこなハ)れん、御心に入、御目につきたる女あらバ、夜るの御座(おまし)

 に召入られ、然るべしと奏(そう)問あれバ、恥かしげに御顔を

 

 打あがめ、二柱の御神始(はじめ)給ひし夫婦の道をこのむハ
 
 ひがごとながら、去年(こぞ)の冬豊(ふゆとよ)の明(あかり)の燎(にわび)の影。かいまみし
 
 面影の身に立ちそひて忘れられず、露のかことに名を
 
 きけバ、大山祇(やまづみ)の臣(しん)娘とや、深山の立木野べの
 
 草なびかぬ方ハなけれ共、引にひかれぬ恋草(ふし)の、種
 
 を誰かハ植(うへ)そめしと、高きいやしき恋の曲(くせ)、うき世、
 
 恨(うらみ)の御詞、児屋の臣を始、伺候の群臣(ぐんしん)一同に、こハ勿(体なき)
 
 

 

 

 

 
 

 

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九月の朝

2020-09-09 | お出かけ

 

 

 

 

 

 

 九月の朝

 

 

朝六時。

久しぶりに、外に出て、

てくてくてくてく

知らない道を進み、

つくつくとくとく

名の知らぬ山を見る。

 

もうすっかり、秋なんだ。

 

 

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