乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 44 二十丁裏 二十一丁表と、『伊勢物語』岩波古典文学大系9

2020-09-14 | 在原業平、そして、伊勢物語 と、仮名草子 仁勢物語




富田高至 編者

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 44 二十丁裏 二十一丁表と、『伊勢物語』岩波古典文学大系9

和泉書院影印業刊 65(第四期) 1998年




44 二十丁裏 二十一丁表

 

二十丁裏

◯をかし男、有馬へ行、人に生鯛くハせんとて呼て

 

二十一丁表

うときにしあらさりけれハ、家ぬしに貝灼子

さゝとて、女の料理くハせんとすあるしの男、歌よみて

味噌漉(コシ)にゆひ付さす、

   鯛の躰を 君がためにともりされハ

   われうハ汁を すひぬへきかな

この鯛ハ有るかなかに新しけれハ、心とゝめて

くハす、腹にあちハひて

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊       

   鯛の躰を 君がためにともりされハ

   われうハ汁を すひぬへきかな


『伊勢物語』岩波古典文学大系9より写す

   出でてゆく 君がためにと脱ぎつれば

   我さへもなく なるぬべきかな

 

貝灼子(かいじゃくし)

 ホタテガイなどの平たい貝殻に、竹や木の柄をつけた杓子。

 江戸では、扇子とともにお年玉としてよく用いられた。

 

さゝ  (酒)

 《女房詞から。中国で酒を竹葉といったことからとも、「さけ」の「さ」を重ねたものともいう》酒のこと。「酒機嫌」

 

 歌舞伎では、「酒」というよりも「ささ(酒)」という言葉で出てくることが多い。

 男1「ささ、ささを一献、召し上がってごじゃれ^^ささ、まずはささのお肴(舞)を一つ、ご馳走したく候。

 男2「お肴、お肴^^お肴は大いに結構。一つ舞ってごじゃれ。」

 男1「では、一つ舞ってみせましょう^^」

       で、男1すり足にて、舞台中央に参り、能楽風の舞が始まる^^

       乱鳥、芝居が見た〜〜い^^v

 

貝灼子

さゝ

 貝灼子でささ(酒)といえば、歌舞伎『俊寛』を思い浮かべる。

 この場合、孤島に酒はないので、清水で酒の代わりとなす^^

 

あるしの

 主人の

 

鯛の躰

 鯛の実

 

心とゝめて

 心留めて

 

腹にあちハひて

 腹に味わいて

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恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 43  二十丁表 二十丁裏と、『伊勢物語』岩波古典文学大系9

2020-09-14 | 在原業平、そして、伊勢物語 と、仮名草子 仁勢物語




富田高至 編者

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 43  二十丁表 二十丁裏と、『伊勢物語』岩波古典文学大系9

和泉書院影印業刊 65(第四期) 1998年





43 二十丁表 二十丁裏

 

二十丁表

◯をかし男、「餓鬼(ガキ)の目に水の見えぬ」といひならハし

けり、その和子、墨跡をほしがりて、いとたかう

 

二十丁裏

兼てかうたまうけるを、人なす目科にて有りける

をわれのみと自慢に思けるを、又人聞つけて

文やるほとゝきたのかたをかきて

   郭 なにそと人のとひけれバ

   なを鵯(シヨトリ)とおもふ 墨跡

といへり、此和子けしきあしくて

   鵯としての田長と今朝そ鳴

   是をハ贋とうとまれ濡れハ

時ハさ月になん有りける、男返し

   にせのおほき 田長ハ猶たのむ

   吾すむ里に すきしや絶へすハ

   

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

   郭 なにそと人のとひけれバ

   なを鵯(シヨトリ)とおもふ 墨跡

といへり、


『伊勢物語』岩波古典文学大系9より写す

   ほとゝぎす 汝(な)がなく里のあまたあれば

   猶疎まれぬ 思(ふ)ものから

 

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

   鵯としての田長と今朝そ鳴

   是をハ贋とうとまれ濡れハ


『伊勢物語』岩波古典文学大系9より写す

   名のみたつ しでのたおさは今朝ぞなく

   庵(いほり)あまたと うとまぬれば

 

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

   にせのおほき 田長ハ猶たのむ

   吾すむ里に すきしや絶へすハ


『伊勢物語』岩波古典文学大系9より写す

   庵おきし でのたをさは猶たのむ

   住む里に声 したえずは

 

和子

 身分の高い人の子。
 
和子
  身分の高い人の男の子供。坊っちゃん。また、男の子供を親しみを込めていう語。

  「その侍の―、鷹いと好きにて」〈仮・仁勢物語 上〉

  1.  
 貴人の男の子供に対して、呼びかける語。二人称の代名詞のように用いる。
 
 「―たちも歓 (よろこ) び給へ、父上帰り給ふとよ」〈読・弓張月後〉

墨跡 

 墨で書いた、筆のあと。筆跡。
 

たかう

 高う

 

かうたまうける

 買う給うける

 

目科 (めきき と読ませている)

 人なす目科にて有りける (恩頼堂文庫旧蔵本

 生目利きにて有りける  (東京教育大図書館所蔵 改正版)

 

 ほととぎす

 

鵯(シヨトリ)

 ひよどり

 ヒヨドリは、スズメ目ヒヨドリ科ヒヨドリ属に分類される鳥類。

 

けしきあしくて(→ 景色がひどく悪くなって)

 けしき(景色)名詞

 ①(自然の)ようす。模様。

 出典枕草子 正月一日は

「正月(むつき)一日は、まいて空のけしきもうらうらと」

 [訳] 正月一日は、一段と空のようすもうららかで。

 ②(人の)ようす。そぶり。表情。態度。

 出典竹取物語 かぐや姫の昇天

「切(せち)に物思へるけしきなり」

 [訳] しきりに物思いにふけっているようすである。

 ③きざし。兆候。

 出典枕草子 心もとなきもの

「子産むべき人の、そのほど過ぐるまでさるけしきもなき」

 [訳] 子を産む予定の人が、その時期を過ぎても産まれるきざしがないの(は、不安である)。

 ④機嫌。心の動き。

 出典土佐日記 一・一四

「かぢとり、けしき悪(あ)しからず」

 [訳] 船頭は、機嫌が悪くない。

 ⑤意向。心に抱いている考え。

 出典源氏物語 桐壺

「春宮(とうぐう)よりも御けしきあるを」

 [訳] 皇太子からも、(妻にしたいとの)ご意向があるのを。

 ⑥特別な事情。わけ。

 出典源氏物語 葵

「若き人にて、けしきもえ深く思ひ寄らねば」

 [訳] 若い女房で、特別な事情も深くは察することができないので。

 

鵯としての田長と今朝そ鳴

 ひよどりとほとほぎす、あの世へ行くと、今朝ぞ、鳴く。

 

して 

 死出(しで)

 死んであの世へ行くこと。「死出の門出」

しての田長(死出の田長)

 1 名詞 ほととぎすの別名。

 [季語] 夏。

 参考「賤(しづ)の田長」の変化したもので、田植えの時期を知らせる鳥の意であったが、音が変化して「しで」となったので「死出」と当てられ、死出の山を越えて来る鳥の意となった。

 

田長(たおさ) ホトトギスの異名

 ① 田のぬし。農夫の長。 「ほととぎすしでの-をあさなあさなよぶ/古今 雑体」

 ② 〔「たおさどり」の略〕 ホトトギスの異名。 〔日葡〕
 
 
さ月
 
 皐月(五月)
 
 
 
 
 
『伊勢物語』岩波古典文学大系9
  
汝(な なんじ)
 
 [代]《「なむち」の音変化》二人称の人代名詞。
 多く、対等またはそれ以下の人に用いられる。
 「―コレヲワキマエタカ」〈天草本伊曽保・イソポが生涯〉
 
 
 

 

 

 

 

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