がじゅまるの樹の下で。

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泣ける現代版組踊No.1「百十~MOMOTO~」

2016年12月28日 | ・現代版組踊レポ

 

百十~MOMOTO~

2016年12月17日(土)・18日(日)

きむたかホール

出演/肝高の阿麻和利(選抜)・Team NEXT TAO

 

 

土曜の夜公演と
日曜の夜公演に行ってきました!

土曜日はメインキャストが
現役の肝高の阿麻和利メンバー、

日曜日はメインキャストが
安定のTNTのメンバーということで、

新鋭・安定どちらも捨てがたく
両方観劇に至りました。

 

去年見た時は、レビューがメモ止まりで
ちゃんと書けてなかったので、
(そのメモはツイッターで晒しました)
記憶もあやふやで(汗)

見た後に、
ああ、そうだったそうだったと
色々思い出しました。

そうならないためにも
今回はちゃんと書いておかねば。

自分のための備忘録レビュー(笑)

 

 

2公演見たのですが、
主に日曜日の公演をメインに書こうと思います。

ナゼナラバ、


土曜日は…

座席選択ミスった…(´Д`;)

段差のない座列の上、
前の人の頭と体で舞台中央、
ほぼ見えず…orz

きむたかホールで中通路より前のエリアで見るときは
最前列か、F列以外は賭けだ!

ということをここにメモしておきます…。

(前の人がいないとか子供とかなら大丈夫と思うのですが…
だから「賭け」です)

 

 

で日曜公演ですが、

とにかく、涙、涙、涙…。

「ストーリー分かってて、何回も見てるのに、
それでもまだ泣けるもん?」

と聞かれたけど、

今回も泣けましたね。

あれ、なんか前回よりも、初演の時よりも泣いてない?

涙腺ゆるくなってる?

 

賢雄が死ぬシーンが近づくにつれ、

思徳と百十踏揚の別れ、

百十踏揚と天界の阿麻和利や賢雄との対話、

思徳との再会、

なぜかカーテンコールの墓参りのシーンまで

 

なんか妙に泣けましたね。

和々的泣ける現代版組踊・殿堂入りです!

 

カーテンコールでの墓参りのシーンは
アフターストーリーみたいで
物語の余韻にどっぷりハマれます。
(原作の小説でも思戸のラストページは墓参りだしね

この舞台ならでは演出で最高です!

 

 

*開演前の子供時代*


去年から登場したミニももちゃんと
チビ賢雄。

公演中の注意事項を言ってくれたりするんですが、
ここでの百十踏揚はかわいいお嬢様系。

賢雄にも
「あなたと私は違うのよっ」
と宣言するお嬢様っぷり。

可愛いけどね。

賢雄も百十踏揚にタメ口だし、
設定である"幼馴染"感はよく出てました。

転んで泣き出す百十踏揚を
おんぶしてやろうとかがんだ時に

「何があってもお前を守ってやるからな」

というチビ賢雄のセリフは
本公演への布石として。

この二人、なかなかいい味だしてるんだけど、
登場がこの一時だけっていうの
もったいないな。

回想シーンとか作って
あともうもう少し出番があったらいいな。

 

 

 

*百十踏揚*


主役である百十踏揚は
抜群のきれいさで抜群の姫でした。

土曜はしとやかな姫で、
日曜は姫というよりは母というか凛とした強さがより感じられました。

幕開け前の元気なお嬢様系のミニももちゃんを考えると
日曜日の百十踏揚はその面影を感じられたかな。
(阿麻和利の死の後差し伸べる賢雄の手を払ったり、
子供を抱かせる賢雄とのやり取りや距離感からも。
賢雄をちょっとイジるというか、
そういう幼馴染としての遊び心と余裕がありました)

土曜日は前エリアの座席だったのですが、
(日曜日は後エリア)
百十踏揚が子供と別れる決意をして
思徳金を抱きしめた時の表情が抜群に良かったです!

それまでは家臣である田場を説得するための
強く毅然とした感じだったのですが、
我が子を抱きしめたとたん溢れる感情、
悲しくて苦しくて愛おしくて震える感じ。

でもそれも一瞬だけ。
この表情は思徳金には一切見せず、
溢れる感情はぐっと飲みこんで、
また母として思徳金と対峙する。

すごーく印象的でした。

前席はこういうのが見れるのがいいよね…。

 

 

 

*思徳金*

 

今回彼はちゃんと少年でした。

田場から聞いた賢雄の訃報に、
「そんな…父上…!」
と、ちゃんと自害の意味を知って
ショックを受ける百十踏揚も気遣う。

思徳が百十踏揚に別れを叫ぶシーンは
初演から涙を誘う鉄板シーンなのですが、
今回は特にその関係性が際立ってて泣けたなぁ。

賢雄の死を理解してた彼が、
「母はしばらく遠い所に行くが、用が済んだら迎えに行く」
なんて言葉の裏を、理解できないはずがないよね。

前々からそうではあったけど、
小さいなりにちゃんと理解して、悟ってる。

彼も悲しい、苦しい。
だけど駄々をこねるのは母を余計に苦しめるだけだ。

彼も全部ぐっと飲みこんで、
決断をする。

だけどやっぱりここは子ども。

後ろ髪引かれ引かれ、
最後の最後に一言だけ、と溢れる感情。

これまではその後は凛として去って言ったけど、
(思徳、武士やね…)
今回は割と子供らしく、まだ未練を残しながらも
惜し気に去っていく。

そんな姿も良かったデス。



 

 

*金丸*


金丸はこの舞台のスパイスだと思っています。

これ(スパイス)が効いてないと、どこか物足りない。

出番は少ないけど、重要な役どころ。
物語の深みは金丸で決まるといっても過言ではないと思ってます。

 

日曜日金丸はこれがよく効いていた!

阿麻和利討伐を後悔する賢雄に、
「阿麻和利に情が移ったか!」
と怒りをあらわにして胸ぐらをつかむ金丸。

このセリフは前からあったけど、
なるほど、こういう解釈をしてきたか!
って感じでした。

金丸の怒り、ですよ。

金丸には金丸の正義があって、
護佐丸や阿麻和利の討伐も
なにも私利私欲のためにやったわけではない。

お国のために、というスタンスを
ちゃんと賢雄とも共有して事に臨んだはずなのに、
その賢雄が揺れている。

そりゃ、たまったもんじゃないわな。
金丸の正義が否定されたようで。

文官の金丸が武将である賢雄に喰ってかかるということや、
クーデター後に兵をあげた金丸に対して
「金丸殿、なぜ…!」と賢雄が苦悩を見せるところが
二人が同志だったという関係性がより見えてイイ。
(歳による上下関係はあるけど)

 

 



*百十踏揚と阿麻和利*


肝高の阿麻和利にもある
百十踏揚のソロの演舞の前に、
阿麻和利が奏でる笛の音色、
舞台背後の薄幕の後ろにずっとたたずむ阿麻和利、
思戸に声をかけられて我に返った時に
その姿もふっと消える。
百十踏揚がずっと阿麻和利を想っている感が出てて
余韻も残る、とてもきれいな空想シーンでした。

土曜日は6代目阿麻和利のなーりー君。
日曜日は現役メンバーから女の子阿麻和利でした。

女の子阿麻和利もかっこいいね。イケメン!

 

 

 

*百十踏揚と賢雄*

 

前回も感じたけど、
ラブラブ感UP

しかも何ですか、
最後のハグは!

なんですか
最後の賢雄の抱擁感は!


(キュン死)

 

土曜日公演では百十踏揚が
紅の打掛を着るのが間に合わない
というアクシデントがありましたが
ここは賢雄からうまく戻ってきてましたね…♡

 

 

 

*大城賢雄*


土曜日はさわやかヒーロー賢雄、
日曜日は安定の武将賢雄(声と体格に相変わらず萌)、
という感じでしたね。

賢雄が死ぬシーンでは、
(ああ、もうすぐ死んじゃう…)
と既に涙目。

このシーン、好きなんです。

日曜の殺陣のシーンでは刃が取れてしまうという
アクシデントがありましたが、
その分、棒を大きく振り回して
蹴りも繰り出し、
体を振り回してダイナミックに表現してました!

刃が取れるアクシデントはつきものだよネ…(笑)

やっぱ、賢雄の最期はかなりの見せ場!

火攻め隊もあれだけ人数増えて迫力があるから
賢雄自身に鬼気迫る必死さがないと、魅力半減。

じゃ必死さは何で表現するかって言ったら
やっぱ体を使った動きだよね。

個人的にはまだ早く、まだ大きく、まだ重くてもいい思ってます。
(安全面的にも可能なのかどうなのかは分からないけど…)
薙刀は長さがあるからその点刀よりも難しいのかな…。

殺陣のシーンが迫力があったら
満面の笑み&瞳キラキラさせて震えてるワタシです(笑)
(護佐丸の舞台なんかはその点迫力あるよね。賢雄が非道で←)

 

賢雄討伐後の火攻め隊の赤い光は、
土曜日はすぐに消えてたので
(あれっ?すぐ消しちゃうの??)
って思ったけど
日曜日はちゃんと復活。

うんうん、やっぱりこうじゃないと。

闇夜に浮かぶ赤い光だけが残るからこそ、
あのシーンの余韻をしっかり味わえます。

現代版組踊シリーズの
数ある「死にシーン」の中でも
これはベスト3に入りますね!

音楽がね、またいいんだ。

最高。

 

 

そういえば日曜日の賢雄は、
百十踏揚を守るっていうのあったけど、
家を守るって感じのもあったなー。

リストバンドの家氏の家紋を手で覆って。

あれ、特注なのかな…。

 

 

 

*アンサンブルさん*

 

勝連討伐軍の凱旋の舞は
男サンの扇子の舞(+旗)でかっこいいね!

越来グスクで行われる生年祝いのエイサーは
越来青年会
のものだと…ツボなんだけど
どうなんだろう?
(願わくば、衣装もそれに合わせて…)

やっぱりここは
肝高の阿麻和利での平敷屋エイサーとは変えて
"沖縄市のエイサー"を満喫したいトコロ。

 

クライマックスの演舞では
百十踏揚の琉歌での始まりが
とにかく神々しくて素晴らしい

神々しくて泣ける。

賢雄の死にざまが印象的な舞台だけど、
ちゃんと百十踏揚が喰われないってのは
この物語性の強さ、ですよね。
(初演の時から賢雄がどれだけすごくても
百十踏揚がちゃんと主役になってた)

 

ほんで、クライマックスの演舞は…

…いつも書いている通りです…。

今回、「翔べ!尚巴志」の第2回公演を思い出したんだよ。

大地の民の舞が、囃子もなく音の華やかさも少なく
すごくあっさり見えた、という。
(今では大地の民の舞はすごくワクワクするにぎやかな踊りにバージョンアップしてます)

それと通じる気がするんだけどな…。

神々しく始まる分、
やっぱりちょっともったいないんだよな~…。

サンバとか、手を打つとか、囃子とか、
そういうの入れたら絶対もっと華やかになると思うんだけどな~。

 

 

最後に辛口。

 

土曜日はセリフの聞こえにくさが目立ちました。
(終演後もやっぱり周りの客席からもそんな呟きが…;)

感情込めるのはもちろんいいんだけど、
それが聞こえにくさになってしまうと……うーん…。

スピード、発声、活舌、
難しいかもしれないけど、
台詞は役者チームにしかない醍醐味でもあるので
引き続き頑張ってほしいです

その点プロから学ぶ機会があるといいよね…。

 

 

 

 

この舞台のストーリーのベースとなっている
小説「百十踏揚」(与並岳生著/新生出版)は
現在、続編が琉球新報で連載中!

百十踏揚と大城賢雄の子、思徳金が主人公です!

最初の50回は一気読みしたけど
それからコンスタントに読むことができてないので
単行本になってから腰を据えて読もうと思ってます。

 

小説「百十踏揚」はホント、おススメなので
今回の舞台で感動した人は!ぜひ!!!

 

 

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