がじゅまるの樹の下で。

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6年ぶりの息吹、沖縄公演

2018年03月25日 | ・現代版組踊レポ

現代版組踊舞台レビューについて



息吹~南山義民喜四郎伝
ふくしまの元気発信公演

2018年3月24日(土)

かでな文化センター

 

夜公演を観劇しました!

息吹は福島県で活動している現代版組踊チーム。

6年ぶりの沖縄公演でした!
(6年前のレビューはこちら

 

今回はチーム息吹だけでなく
鹿児島県伊佐市のチームちむどんと、
沖縄県のチーム鬼鷲メンバーとの
コラボ公演!

他チームのメンバーが他チームの公演に
特別出演するというのはこれまでも
あったりしたので、
これまで通り演舞とか、
そのチームだけのワンシーン追加、とか
そういう感じだろうな、と思ってましたが、

 

主要キャストにもがっつりコラボ

 

でした。

ってか、カーテンコールでメンバー紹介されるまで
役者にも他チームがいるとは
全く気付きませんでした(!)。

 

それくらい、一体感があって、違和感なくて。

 

え、これってどうやって練習したの!?

演舞とかそのチームだけのワンシーンとかなら
それぞれで練習したのを
直前に立ち位置とか繋ぎを確認するだけでできるけど、
例えば、「南山義民」6人の中に鬼鷲メンバーがいたり(しかもリーダー格)、
主人公たちと直接対立する"悪役"の代官が伊佐メンバーだったりと
決して「ちょっと絡んでみました」レベルじゃない、がっつりキャスト。

 

主要キャストは絶対みんな息吹メンバーだと思ってたから
これには驚きましたね。

いくらネットやSNSがあるとは言え、
決して簡単なことではなく、
様々な努力があったに違いありません。

 

鬼鷲メンバー、ちむどんメンバーもブラボーでした!

 

ってゆーか、現代版組踊という可能性が
これでもっともっと広がった感じ!?

これまで以上に、チームの、そして都道府県の枠を超えて
色んなチャレンジができていきそうですね!!

 

恐るべし、現代版組踊!!

 

 

+ + +

 

 

鬼鷲コラボで今回特殊だったのは
やはり、鬼鷲メンバーでのワンシーン追加もあったこと。

冒頭、江戸城のシーンでの「慶賀使」、
徳川吉宗との謁見と、マミドーマの演舞。

尚敬やら冊封などの用語も飛び出てました。

 

気になったので帰って調べてみたら
(舞台観てアンテナ引っかかったら調べる!舞台後の楽しみ♪)
徳川吉宗の慶賀使は1718年に派遣されてますね。

ちょうどその年には尚敬の冊封もあって
そして組踊が誕生するっていうね、ちょうど300年前の、あの年です。

来週那覇チームが公演する「琉球伝信録」と繋がるじゃん!
とマニアックにツボりました(笑)

(この時の慶賀使は平敷屋朝敏も同行してたみたい。
どうせなら劇中に朝敏も出てたら良かったな♪
ここん所のセリフ、どれが誰なのか聞き取れなかったけど
もしいたのであればご容赦を)

 

息吹の物語は、松尾芭蕉が吉宗に南山の出来事(過去)を語る…と言う展開なので
1720年代の御蔵入騒動とは年代が多少前後するのですが、
なるほど、ここはフィクションとしてアレンジしたんですね。

勉強になりましたm(_ _)m

 

 

 

 

メンバーが増えたぶん、
演舞は迫力&華やかさ倍増!

 

前にもまして見応え抜群でした!

アンサンブル衣装はだいぶ変わりましたね。

髪の毛もおだんごじゃなくてポニテだったり
赤い袴っていうのも巫女っぽくて、
つまり「和」っぽくて琉球感とはちょっと違っててステキでした♪
(澪之助が好きそ~、と思ってたら案の定(笑))

前の染め布満載の衣装も好きでしたけど☆
(でも(前の)鬼鷲っぽいのよね。デザイナーさんが一緒?)

 

 

+ + +

 

 

リピート観劇の時(初見の時はさすがに主人公メインで観ますが)
私は主人公とは違う人たち(しかも悪役寄り)を注目しがちなんですが、
今回は、それが代官「山田」でした♡

主人公たちと敵対するいわゆる悪役のボス、なんですが、
悪さ全開、非道さ全開、嫌な奴全開!!
って感じではなく、
冷静さも兼ね備えた知的な悪役って感じでカッコよかった!

喜四郎を実際に手にかけるのは彼なんだけど
前回みたいに滅多斬り&高笑い、という感じはなくて
(これはこれで太鼓乱れ打ち+剣舞でかっこよかったのですが)
合掌して屍に敬意を表したりもして、
ちゃんと武士っぽかった。

だから蟄居させられたことには
ちょっとだけ同情もしたかな(笑)

 

肝高の阿麻和利やMOMOTOのスパイスが金丸であるように、
息吹のスパイスはズバリ、山田だな( ̄ ̄)ニヤリ

 

 

+ + +

 

 

そういえば、
この騒動(一揆)の時って民衆の連判状とかってあったのかな?

喜四郎たちが人目を避け、一人ずつ寺に集まって
話し合い、意を決するシーンも印象的でしたが、
連判状や血判、
盃を飲みまわす(一味神水、誓い・固めの盃)シーンとかがちょこっとあったら
彼らの覚悟と団結力、一心同体感も伝わるし、
その後の瓦解がより悲壮さを帯びるかも。

こういう歴史的なリアルエッセンス(所作や風習)が入ると
よりリアルな歴史劇っぽくなって好みだったりします♡

(『一揆の原理』を読んだからってのもある)

 

 


パンフレットより。
こういう歴史的資料・解説はありがたい。


 

 

 

前回、非常に印象的だった喜四郎が家族と別れて
雪道を行くシーンは、

今回ももう鉄板で、

雪の照明と共に白い半透明の幕がわーっと下りてきて、
一気に豪雪地帯の白い世界へ。

幕の後ろには喜四郎以外の3名の足取りや
別れた妻子の様子も映し出され…

ドラマ性倍増!!

吹雪の音とかももっと入ると
もっと「温度」を感じられていいかも( ˘ω˘ )

 

それから喜四郎が捕らわれ斬首されるシーン、好き。

大川渓流太鼓保存会による
和太鼓(カッコイイ♡)をBGMに繰り広げられ、

空手の型での喜四郎の抵抗と、
捕らわれてぼこぼこにされる様子が
喜四郎の体の動き(パントマイム)だけでよくわかる。

 

そして、
喜四郎最期の「叫び」は、
あえてここで「南会津」ではなく「福島」と言うあのセリフは、
まさに今の私たちに訴える叫びそのもの、ですね。

 

息吹の舞台の核はここにあり。

 

 

あと、
義民たちの死後のシーン。


中幕が開くと
6名の墓標の後ろに彼らがずらりと立っている、
というシーンは音楽の効果も相まって
大河ドラマのようで鳥肌がぶわ~っ!と…。

(やっぱりホールのフル生演奏はいいな…音の厚みが違う)

 

喜四郎や義右衛門の家族らが墓を訪れ、
霊魂となった彼らがそれを見守る。

そして村の子供たちが
義民六人の名前を斉唱する。

彼らの存在を、生きざまを、
子どもたちに伝えている、
伝わっている、
学んでいるという、
次の世代に語り継ぐ感が出てて
無邪気なあの子供たちの声が妙に心にしみるのです…。

息吹には小学生メンバーも結構いますが(小1から!)、
しっかりこの子供たちが活きている、
演者が幼いからこそ、の効果的な演出だと思います。

 

 

+ + +

 

 

6年前のレビューでも書いたけど、
この舞台は民衆が主人公の、
民衆力が表に出た舞台。

民衆の苦悩と、たくましさと、郷土を愛する心は
今の私たちとなんら変わるものではなくて。

だからこそ、
とても身近で、
メッセージ性の強い、
そんな舞台なのだと思います。

 

 

6年ぶりの息吹、
見ることができて幸いでした。

公演してくれたメンバーの皆さん、
スタッフの皆さん、

ありがとうございました!



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