がじゅまるの樹の下で。

*琉球歴女による、琉球の歴史文化を楽しむブログ*

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義珍の拳

2019年05月17日 | ・和心な本、琉球な本

 

先日、図書館の文庫コーナーで目に留まった一冊、
『義珍の拳』。

作者は今野敏。

以前読んだ『武士猿』と同じ作者です。

 

表紙からわかるように、空手を題材にした小説で、
主人公は船越(冨名腰)義珍。

船越義珍は、
就職試験(一般教養(沖縄))の受験勉強で、
"空手を本土に広めた人"
として琉球史にハマる前から名前は知っていました。

でもそれ以上の知識はありませんでした。

 

そんなワタシにとって、この小説は、
とても勉強になる1冊でした。

 

王国時代、秘儀として秘密裏に伝承されてきた唐手(とぅーでぃー)を
沖縄で、そして本土で、公に、一般に広めていくことに尽力した義珍。

本土で、沖縄のカラテが高く評価されることの喜び。

と同時に生じる「カラテの本質」が薄れていく危機感や葛藤、
「君子の武道」であるはずのカラテが
実践や勝負に価値を置く「スポーツ」として広がっていく失望感。

廃藩置県、太平洋戦争、戦後と
時代の移り変わりとと共に、
カラテに生涯をささげた義珍の一生が描かれています。

空手の歴史、
名だたる先人たち、
同時代に活躍した空手家たち、
空手の精神や本質にも触れることができます。

 

 

「空手に先手なし」

 

沖縄空手会館の展示室入口のパネル、
中央に大きく書かれているのが
義珍のこの言葉です。

この本を読んだ今、
改めてここを訪れたくなりました。

(空手会館初訪問の時の過去記事 

 

 

実はYouTubeに義珍の動画がちょいちょいあるんですよね…。

ちょっと貼っておきます。

Gichin Funakoshi - 1924 Vintage Footage


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