先日、図書館の文庫コーナーで目に留まった一冊、
『義珍の拳』。
作者は今野敏。
以前読んだ『武士猿』と同じ作者です。
表紙からわかるように、空手を題材にした小説で、
主人公は船越(冨名腰)義珍。
船越義珍は、
就職試験(一般教養(沖縄))の受験勉強で、
"空手を本土に広めた人"
として琉球史にハマる前から名前は知っていました。
でもそれ以上の知識はありませんでした。
そんなワタシにとって、この小説は、
とても勉強になる1冊でした。
王国時代、秘儀として秘密裏に伝承されてきた唐手(とぅーでぃー)を
沖縄で、そして本土で、公に、一般に広めていくことに尽力した義珍。
本土で、沖縄のカラテが高く評価されることの喜び。
と同時に生じる「カラテの本質」が薄れていく危機感や葛藤、
「君子の武道」であるはずのカラテが
実践や勝負に価値を置く「スポーツ」として広がっていく失望感。
廃藩置県、太平洋戦争、戦後と
時代の移り変わりとと共に、
カラテに生涯をささげた義珍の一生が描かれています。
空手の歴史、
名だたる先人たち、
同時代に活躍した空手家たち、
空手の精神や本質にも触れることができます。
「空手に先手なし」
沖縄空手会館の展示室入口のパネル、
中央に大きく書かれているのが
義珍のこの言葉です。
この本を読んだ今、
改めてここを訪れたくなりました。
実はYouTubeに義珍の動画がちょいちょいあるんですよね…。
ちょっと貼っておきます。
Gichin Funakoshi - 1924 Vintage Footage