先日、松本清張賞受賞者で
沖縄の歴史を取り入れた小説を書かれている
滝沢志郎さんと川越宗一さんを迎えての
トークショーがありました。
川越さんの『天地に燦たり』は
過去にレビュー記事も書いているのですが
滝沢さんのはまだだったので、
今日はこちらについて。
といっても、
松本清張賞受賞作で鹿鳴館を舞台にしている『明治乙女物語』ではなく、
滝沢さんの最新作で近代沖縄を舞台にした小説
『琉宮城の姫君』のほうを。
雑誌「小説すばる」10月号に掲載された読み切り中編小説です。
(今はもう店頭にはもうないので、気になった方は図書館で☆)
主人公は、
沖縄に図画教師として赴任してきた吉永光太郎。
教え子の高良倫子の家に伝わる”宝”さがしを、
同僚の女教師・渡名喜千代と供に手伝うことになり…
という物語。
物語の舞台は大正時代の沖縄ですが
”宝”のルーツは王国時代にさかのぼり、
大正時代の風景と、
王国時代の歴史的背景とがミックスされた
ちょっと新鮮な世界観。
小説や漫画や舞台など、
創作物を通して歴史にふれると
その時代や人をより身近に感じることができるため、
まだまだ層が薄い「近代沖縄」(王国解体後から沖縄戦までの時代)を舞台にした
創作物がでないかな~と願っていたので、
『琉宮城の姫君』は
まさにドンピシャ!待ってました!!の作品でした。
(トークショーでも滝沢さんがふれていた、
琉球沖縄の歴史は、王国時代からいきなり沖縄戦に飛んでいる、という話、納得)
物語に描かれた大正時代の沖縄の風景や人々の営み、
”宝”にまつわる王国時代の話や、
まさに”宝”のことなど、
取り上げたい部分は色々あるのですが、
今回私が気になったのは、
”宝”さがしの舞台となった
「宜野湾・総喜呂原」について。
これって、今のどこだろう??
もしかして、基地内??
と思い立ちまして…
久々に宜野湾市立博物館にGO!
もともと見る予定だった企画展を見て、
一昨年リニューアルされた常設展を見学していると…
…はっ!!!!
「う そけろ原」の印部石の写真がある!!
※撮影許可はもらいましたが、展示物そのものなので大きく掲載するのは控えます。
しっかり見たい方はぜひ宜野湾市立博物館へ★
え、これって創作じゃなくて、マジであったんだ!!
う~~~ん
こういうのに出会った時って
シビレますよね~~~
総喜呂原については
学芸員さんに尋ねてみると、
現在の「赤道」エリアだということが判明。
今は住宅街だけど…
印部石、あるのか!?
そうこうしながら、
得たキーワードを元にググったりしてると…
普天間飛行場から印部石 宜野湾市教委
(沖縄タイムス2014.9)
…!!!
やっぱり基地内だ!!
宜野湾市立博物館でいただいた文化財マップで
「赤道シキロー」の場所を確認し、
行ってきたの図。
フェンスの向こうが普天間基地。
地形図をみると写真右手側のほうが低くになっているよう。
なるほど、ここが……。
主人公らが普天満宮から宜野湾並松街道を通って
ここ「赤道シキロー」までやってきた、
その道のりに思いを馳せる…。
妄想トリップが得意な福耳さん(琉球歴女の会幹部)とは違って
光太郎たちの声は聞こえなかったけど…(笑)
…となると、
そこから南西200メートルほど離れた場所…
写真でいうと太陽の下の丘あたりか?
(写真、逆光ですみません)
文化財マップでは
「赤道渡呂寒原屋取古集落」
となっていました。
+
というわけで、
小説を通して、新たな史跡を知ることができ、
総喜呂原(赤道)も私にとって特別な場所となりました。
こういう体験がもっとしたい。
トークショーでの滝沢さん談によると
今後も「小説すばる」で近代沖縄の話を書いていくようなので、
とっても楽しみです
+
ところで、
今回お世話になった宜野湾市立博物館では
現在、企画展『変わりゆく街並み~西普天間の移り変わり~』を開催中!
普天満宮の裏側、
普天間基地内の「西普天間」エリアの発掘成果について。
基地内の文化財とか、基地で消えた集落とか、
そういうのに興味があります。
去年RBC SF・ファンタジー大賞を受賞した
「タクシーの花子さん」の大工廻(だくじゃく)もそうだし…。
土日限定で、
「フトゥキャアブ」や「イシジャー」のVRも体験できます。
常設展もおすすめ。
「う そけろ原」の印部石写真だけでなく、
宜野湾並松街道の様子(写真、地図、模型)など、
『琉宮城の姫君』の一端に触れることができますよ。
入場無料です♪