QSLカードが交信の事実を証明する書類であることは周知のとおりだ。交信そのものが無形であるため、その証明が必要な場合には欠かせない書類と言える。しかし、その書類が誤った知識によって不備となっているケースが多いのが現実だ。
受領したQSLカードで最も多いと感じる不備は“To Radio 欄が正しく使用されていない”である。そもそもTo Radio 欄は、どの局に対して交信の事実を証明するのかを明確にするためにあるものだ。つまり、交信相手局の識別信号(以下、コールサイン)を記入するための欄である。ところがそこに書いてあることが宛て名、運用場所、あるいは空白(無記入)といったQSLカードが、受領の度に必ず含まれている。
じゃあ何故そうなってしまうのか?まぁ正しいQSLカードの書き方を理解していないことに尽きるのだが、ちょっと考えてみた。
(1)ビジネス文書のように、宛て名を書くものだと思い込んでいる。
ビジネス文書を作成できる方であれば、それぞれの書類に応じた作成のルールがあることくらい想像できると思うが…何故こだわる?
(2)手紙のように、宛て名を書かないと気がすまない。
宛て名を書くことを否定しているわけではないが、まずは、To Radio 欄に書くべき相手のコールサインを書いた上で他のことを書くべきだと思う。これも何故こだわる?
(3)JARLの転送枠にコールサインを書いているので、それで十分だと認識している。
(4)前述(3)の方が、空いている 、To Radio 欄に宛て名や運用場所を書いている。
この2点は日本独特の背景が絡んでいると考えている。JARLの転送枠のお陰で、 、To Radio 欄の影が薄くなっていると思う。とは言え、実際にコールサインの記入欄が2つあるのは何故か?と考えないのだろうか?
・To Radio 欄:交信相手局をコールサインで書く。
・JARLの転送枠:QSLカードの転送先をコールサインで書く。(つまり、QSLマネージャ)
日本国内同士のQSOの場合、上記の2つが偶然同じであることが多いだけ。これを是非理解して欲しいと思う。
(5)使用している書式に To Radio 欄(または相当するもの)が無い。
例えば、Q社のリポート面“R-02”などが該当する。これは受発注の双方が、「QSLカードに必要な記入項目は何か?」を理解していないのだろうと考える。双方に「何故このリポート面を考えた?」あるいは「何故このリポート面を選んだ?」と尋ねたいものである。
それでも最近はパソコンを使用して発行している方が増えたことでミスは減少傾向にある。例えばQSLカードの書き方を解説しているサイトで正しい知識を得たり、ログソフトが備えている標準印刷フォーマットで設定済みという事情もありそうだ。その他にも、日時や周波数などの記入ミスも少なくなっている。となれば、パソコンを使わない方、且つ、QSLカードの正しい書き方を理解していない方に、どうやって正しい書き方を浸透させるかが課題と言えそうだ。難しい課題である。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます