タイトルを見て、「ん?」と感じた方がおられるかもしれませんが、以前、ムクノキはニレ科でしたが、今はアサ科になっています。
ムクノキは陽樹で、森の中よりも裸地を狙って定着する先駆性樹種(パイオニア)です。
種子は鳥が好む果肉質で、休眠能力をもつ埋土種子でもあります。
林内に、鳥によってムクノキの種子が運ばれていれば、人工的な伐採や風倒木によってできた空間で素早く発芽し、成長することになります(天然更新において、重要な樹種の1つであると思います。)。
成長が早くて寿命も長いという、極相樹種的な面をもつ先駆性樹種とも言えるムクノキ。
神社などにも生育しており、巨木も多いので、ご神木にされていることもありますが、成長が早いので、見た目以上に実は若いということも。
名の由来は、良く茂る木で「茂くの木」だそうです。
ムクノキの一番の特徴はザラザラした葉。
まさに自然素材のサンドペーパーで、切った爪の先を滑らかにすることもできます。
象牙、べっ甲、角細工や漆器の木地を磨くのにも使われ、木材を磨くために、無くてはならないもので、昔は、鉋をかけた材木に鮫皮やトクサで荒磨きをしたうえで、ムクノキの葉で仕上げていたそうです。
葉の鋸歯が全縁にあるところがエノキ(鋸歯は上半分のみ)との違いです。
ムクノキ材は、散孔材で心材は黄褐色、辺材は淡黄色ですが、心材と辺材の境界は曖昧です。
割れにくいので、強靱な材は天秤棒や工具の柄などに利用されたそうです。
樹皮は暗褐色。
若い時は、平滑ですが、成長すると割れ目が入り、やがて短冊状に剥がれます。
花は4~5月頃に、展葉と同時に開花し、葉の基部に淡緑色の小さな花を付けます。雌雄同株です。
果実は10~12月頃、黒紫色に熟し、干し柿の様な甘さで、食べることが出来ます。
果実の中の種子は約8mm、種子の表面にケイ酸が沈着し、小石を噛んでしまったように堅いそうです。
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