雪害は、積雪・雨氷・雪崩などによる「機械的雪害」と積雪の期間が長く生育を妨げる「生理的雪害」の2つに区分されます。
雪害の種類は冠雪害・雪圧害・雪崩害・雨氷害があります。
今回は、それぞれの雪害について紹介しますが、前回の「寒さの被害」同様、文字ばかりの説明となり、申し訳ございません・・・。
「冠雪害」
雪が樹木の枝葉に付着し、枝や幹が折損したり、湾曲したりする被害を言います。
冠雪害が発生する気象条件として、
1.気温が+から-へ移行する」
2.気温は-3℃以下で、降雪中の風速は3m/秒以下
3.降雪後に強風が吹く
等が指摘されています。
被害程度は、樹形、樹冠の偏在、胸高直径、形状比などによって変化します(形状比など専門用語の説明は別の機会で・・・今回は省略しますm(_ _)m。)。
林業の場合、これに立木密度が加わり、間伐が遅れている高密度の人工林では、甚大な被害を受けやすくなります。
林業における冠雪害対策は、
冠雪害に弱いとされる品種の造林と密植を避け、三角植え・並木植えなど傾斜方向の林木間の距離を長くとる。
間伐は、傾斜方向の間隔をあけるように選木し、枝打ちは谷側の枝を山側の枝よりも高く打ち上げて、樹冠のバランスをとる。
と言われています。
「雪圧害」
樹体が埋雪され、積雪の荷重に耐えきれず損傷する被害を言います。
最深積雪深の2~2.5倍以下の樹高の樹木は、積雪により湾曲し、樹体全体が埋雪しやすいと言われています。
急傾斜では写真のように湾曲することもあります。
雪圧に対する対抗力が弱い部分では幹折れ、枝抜け、樹皮剥皮などの被害が発生し、その損傷部が腐朽菌等の侵入口となり、別の被害が発生することもあります。
雪圧害は被害は豪雪地で激しくあらわれます。
林業における雪圧害対策は、
下刈り、雪起こしを行い、早い段階で樹高と直径を大きくし、埋設・倒伏しない大きさに育てる。
下刈りは、積雪の滑りを抑えるため、秋に全刈りするのが望ましい。
と、されています。
「雪崩害」
その名の通り雪崩の衝撃力によって樹体が損傷・変形する破壊力が最も高い雪害です。
雪崩が広範囲に及ぶと大規模な森林災害になり、数十年生の森林が壊滅することも。
「雨氷害」
気温が0℃に近いとき、過冷却水滴が枝葉に凍結し、その重量で樹体が破壊される(枝折れ・幹折れ)被害を言います。
本州では海抜1000m付近に発生することが多いそうです。
林業関係の専門用語がチラホラ出ていたので、詳しい説明もなしで、続けてしまい、申し訳ございません。
以上、雪害4種類についてのご紹介でした。
雪圧害で湾曲した材は、材価を低下させる要因になります。
しかし、湾曲した材は、意匠性のある床柱的なものになったり、階段の手すりになったり、需要があれば、値が吊り上がる場合もあります。
←この材も需要があったので、ヘリで搬出され、確か、1本数万円で売れたと思います。
被害を受けたことで、普通は売り物にならないはずの商品が、ちょっとした需要で高価な商品に変わる。
林業に関わると、こういう面白い一面に出会えるのも楽しみの1つです。