新芽が赤いという特徴を持ち、非常に良く見かける樹木「アカメガシワ」。
新芽が紅色で、大きい葉に食物を盛る「カシワ」と同じ使い方をしたことから「アカメガシワ」が名前の由来だそうです。
ちなみに、漢字で書くと「赤芽柏」。
実は、「ゴサイバ」、「サイモリバ」という別名もあり、漢字にすると「後菜葉」、「菜盛葉」と書くそうです。
アカメガシワは、本州(秋田県以南)、四国、九州、南西諸島に分布し、河原や海岸、伐採跡地などの日当たりの良い場所に生える「パイオニア(先駆性樹種)」です。
ちなみに、本来は熱帯系の樹木で、温帯に進出するために落葉性を身につけた・・と思われているそうです。
アカメガシワの葉は互い違いに生える「互生」で、葉先は深くor浅く尖裂or3裂します。って、文章で書いたら何が何やらですね(^_^;)。
葉の基部には、蜜腺(みっせん)があり、アリが吸蜜しにくるので、葉柄から葉の基部にかけて、ウロウロしているアリを見かけると思います。
アカメガシワは、雌雄異株で、5~6月に黄色い花を咲かせます。
これが雌株(雌花)。
次に雄株(雄花)。
秋になると実を付けます。
アカメガシワの種の表面には油脂があり、休眠性が高いという能力が備わっています。
そして、上層木が無くなり、太陽の光が地面に直接あたり、高温環境になると発芽率がグッと上がります。
薄暗い森の中に落下した種子は、地面の中で長期間休眠し、伐採や火災などによって、林内に光があたり、その温度変化に反応して芽生えるという戦略を持っていて、これが「パイオニア(先駆性樹種)」と呼ばれる樹木の特徴の1つですね。
なお、幹にはタンニンなどの蓄積量が少ないため、材としては腐りやすく、樹木そのものも短命です。
長生きしない樹木なので、早々に種子を作り、散布された種子が、地面の中で長期休眠し、伐採などで林冠が開く瞬間を、今か今かと、じっと待っている。という訳ですね。
なお、材質は軟材なので、下駄や薪炭などに使われます。
アカメガシワの樹皮です。
この樹皮には、「ベルゲニン」という苦味物質が含まれ、胃腸薬に利用されるそうです。
生薬として登録もされており、樹皮を煎じたものは胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃酸過多症に効果があるとされています。
僕は、ストレスで胃潰瘍とか十二指腸潰瘍になりやすいので、これは有り難い情報ですネ。今はストレスがないので、当面、お世話になる予定はありません(^o^)。
最近は、アカメガシワの樹皮が丈夫な特性を活かして、樹皮で篭を作られる方もいらっしゃいます。
耕作放棄地も増え、森林伐採も進むので、あちこちで、アカメガシワを見かけます。
樹皮を活かすとなると、幹も一定の太さが必要になりますが、成長が早いので、耕作放棄地に繁茂するアカメガシワを上手に活かして、生薬や篭の素材が取れる体制を整えるのも、面白いかなーと思います(^_^)。
最後に冬芽。
アカメガシワの冬芽は「裸芽(らが)」といって、よ~く見ると、小さい葉っぱがキュッて、固まっています。
写真のように何も覆われていない冬芽なので「裸芽(らが)」。
冬になったら、じっくり観察してみて下さい。