スギノアカネトラカミキリ(以下、アカネ)の生態について最後のお話にかる今回は第5章「幼虫の坑道」。
枯れ枝の中で、孵化した幼虫は、枯れ枝の樹皮下を食べ、成長とともに枯れ枝の中心部に進みながら、樹幹木部へと向かっていきます。
そして、樹幹にたどり着くと、通ってきた枯れ枝を中心に上下方向に坑道を作ります。
幼虫の坑道には、白くて細かな屑が詰まっています。
幼虫は、樹幹にたどり着くまで、かなりの長期間、枯れ枝の中で食害を続けるがの一般的で、中には枯れ枝だけで一生を終えるものもいます。
このような場合は、枯れ枝が太くて、それだけで十分なエサになった時や産卵された場所が樹幹から遠く離れている時に起こると言われています。
なので、アカネが一生を終えるには、必ずしも樹幹部を加害しないといけないというわけではありません。
あと、生枝の二次枝が枯れていた場合、そこにも産卵し、枯れた二次枝を通って、生枝の木部を食害して、一生を終えます。
中には、生枝を食い進み、樹幹木部にたどり着くものもいます。
幼虫の坑道をまとめると、
1.枯れ枝から樹幹木部へ食い進む。
2.枯れ枝の条件次第では、枯れ枝を食害し、そこで一生を終える。
3.生枝の枯れた二次枝から生枝の木部へ食い進む。
4.生枝の枯れた二次枝から生枝の木部へ食い進み、樹幹木部まで食い進む。
この4パターンが考えられ、基本は1の被害例が多数ですね。
被害傾向をスギとヒノキで比較すると、自然落枝しにくく、枯れ枝の着生期間が長いヒノキの方が単木あたりの被害が多い傾向にあります。
枯れ枝になってから幼虫が食害するまでの年数は、スギで2年後、ヒノキで3年後が一般的とされています。
ヒノキにいたっては14年前の枯れ枝が食害されたという報告もあります。
スギよりも長い期間、多くの枯れ枝を残すヒノキの方が被害が多くなります。
樹幹内部における幼虫の分布は、枯れ枝の分布が影響しているので、地上高2~3mと樹冠上方にほとんど見られません。
しかし、木の生長とともに、今の生枝が枯れ枝になれば、そこにアカネが産卵するので、被害が蓄積されていきます。
以上、アカネの生態「幼虫の孔道」に関するお話でした。
次回から防除について、複数回に分けて、お話していきたいと思います。
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