荒れる海を待つ

2007年11月02日 00時25分58秒 | コメディのかけら
どんな漁も、
海が荒れないに越したことはない。

だが、近海のホンマグロ漁はあまり海が静かだと困る。
ただし、漁師がではない。
撮影隊が、である。

マグロ漁のドキュメンタリーは、人気特番の一つ。
かつて、そんなマグロ漁番組を担当したスタッフから聞いた話だ。

撮影当日。
その時期にしては珍しく海は静かだった。
雲一つない青空である。

しかも、数日待っても1匹も釣れないこともあるホンマグロが、
この日に限って、どんどん釣れる。
豊漁である。

漁師は大満足。
しかし、撮影隊の顔は暗かった。
青空の下のマグロ漁なんて”絵”にならない。
やはりマグロ漁は曇天と荒れた海だ。

そこで海が荒れるその時まで、
ひたすら待ち続けたのだそうである。