僕は小田急線の経堂という街に住んでいるのだが、
経堂に新しい飲食店ができるたびに、
しばしば耳にする声がある。
「経堂にしては高い」
ただ単に高いわけではない。
”経堂にしては”高いのだ。
つまりもっと都心、
渋谷や青山、あるいは六本木ならば、
高くはない金額、
でもそれが経堂だと高いと言われてしまうのだ。
経堂というのは、
小田急線では新宿は別格として、
下北沢や成城学園などと比べたら、
やや格下の街だ。
だから、同じような店ならば、
新宿や下北沢よりも安くて当然、
みんな、そう思ってしまっているのだろう。
だが、飲食店経営者に聞くと、
メインの通りの家賃は、
いまや新宿や下北沢並み。
そのため、新宿や下北沢並みの値段でやらないと苦しいよいう。
しかし、客はそんなことは知らない。
あの店は「経堂にしては高い」という評判が流れ、
客が減り、
気がつけば閉店している。
そしてその後にチェーン店が入り込む。
悪循環。
こうして街はその顔を失っていくのだ。
経堂のような規模の街が、
今一番、その街らしさを残すが難しいのではないか。