そばに七味を入れるのは普通だ。
でも、それが「ざるそば」となると気になるところだ。
赤坂の立ち食いそば屋で、
大盛りのざるそばを食べている巨漢がいた。
大きな音を立てながら、
気持ちいいぐらいの速さで、
ざるそばを平らげていく。
すると。
半分ぐらい食べたところで、
七味を手にしたのだ。
ざるそば、なのに。
巨漢は、ざるそばに七味をかけはじめた。
かけて、かけて、かけた。
もうざるそばは真っ赤だ。
そしてようやく、七味をかけるのを止め、
真っ赤なそばをつゆにつけて食べ始めた。
あんな食べ方もあるんだなあ。