ある音声さんの話である。
そのドラマの現場はとてもハードなスケジュールで、
毎日1時間ほどの睡眠時間しかとれなかった。
今日も2時間ほど眠ったら、
現場に向かわないといけない。
携帯のアラームをセットして眠った。
そして目が覚めると、
7時間ほど遅刻していた。
携帯をマナーモードにしていたため、
アラームに気づかなかったらしい。
携帯を見ると、
数十件の着信。
しかし
1、2時間の遅刻ならば慌てるが、
7時間も遅刻すると逆に落ち着く。
シャワーを浴びて頭をすっきりさせてから、
現場と連絡をとった。
幸いそこまでの撮影は、
彼の助手だけでなんとかなるシーンばかりだった。
彼が本当に必要になるのは、この後。
今から急いで向かえば間に合うはずだった。
後ですごく怒られたのではと聞くと、
「特には。
でもさすがに悪いと思ったので、
技術部のみんなにラーメンを奢りました」
何からなにまで、
「普通」ではない話である。