近所の飲み屋で聞いた話だ。
カップルの客がやってきた。
初めて来る客だった。
「ホッピーセット」と男。
すると、女が、
「私は中」
ホッピーを知らない人のために説明しておくと、
ホッピー自体にはアルコールは入っていない。
ホッピーを焼酎で割って飲む。
普通は1本のホッピーで2~3杯分割ることができ、
おかわり用の焼酎を中と呼ぶ。
つまりこのカップルは、
中を2つ頼み、
1本のホッピーを分け合おうとしたのだ。
確かにそれだとかなり安く飲める。
しかし店としてはたまったものではない。
料理の値段を安くする分、酒類で補うのが飲み屋の常識だ。
その店も一人ワンドリンク制なので、
その旨を告げると、女性はレモンサワーを注文していた。
この話を聞いていたら、
こんな光景が浮かんできた。
大晦日の夜。
二人の中年男を連れた貧相な老婆がやってくる。
そして老婆が言う「ホッピーセットと中を2つ」
童話『一本のホッピー』
出だしは出来たので、この後、どう展開しようか。