「作りハガキ」の回想

2016年10月10日 08時22分42秒 | 業界のかけら

白紙の領収書騒ぎで思い出したのは、
なぜか”作りハガキ”のことだった。

僕がそんな必要のあるラジオ番組に携わっていたのはもう20年近く前の話だ。
現在のラジオの現場がどうなっているのかはわからない。

それはさておき。

当時は「作りハガキ」が必要だったのだ。

毎週、色々なコーナーでネタを募集する。
しかし紹介するに足るネタが来ないこともある。
そういう時、放送作家がネタを作る。
それが「作りハガキ」だ。

ネタを考えることはさほど大変ではない。

大変なのは、
パーソナリティーを騙すことだった。

スタッフの「作りハガキ」だとバレてはいけない。
その事に、渾身の注意を払った。

同一人物が書いたようにバレないように、
一生懸命、筆跡を変えた。
筆跡に違いが出るよう、多種類のペンを持つ放送作家もいた。

しかしながら、それでも限界はある。

男性の作家が、女性の「作りハガキ」を書くのは難しい。
そういう時はネタを作った後、女性スタッフを探し清書してもらった。

さらに、ハガキ自体をどうするかという問題もあった。


実際には投函しない「作りハガキ」には消印がない。
これは不自然であり、パーソナリティーにバレるかもしれない。

そこで住所を鉛筆で書き、裏面は白紙のハガキをあちこちのポストから、
番組宛てに投函し、消印付きのハガキを入手した。

パーソナリティーの気分を害さないためとはいえ、
なぜそこまで必死になって騙そうとしたのか、今となっては不思議だ。

白紙の領収書のニュースを読んで、
なぜかそんなことを思い出した。