仮の編集が終わったVTRをチェックする作業をプレビューという。
このプレビューにも演出氏やプロデューサーの個性が出る。
某番組の初回のプレビューでのこと。
まだかなり粗い編集のVTRを流しながら、
女性ディレクターが仮のナレーションを読んでいたら、
突然、プロデューサーがVTRを止めさせた。
「ダメだよ、そんな自分が読むように読んじゃ。
もっと☓☓さんが読むようにやらないと。
全然伝わって来ないよ」
☓☓さんというのは、実際に番組でナレーションを担当している俳優だ。
こんなダメ出し初めて聞いた。
そしてプレビュー再開。
少しだけナレーションの読み方が変わった気がするが、
もちろん、☓☓さんとは似ても似つかない。
女性だし、ナレーションの原稿自体、まだ仮の仮のものだし。
いったいどんな気持ちで彼女はナレーションを読んでいたのか。
それを想像すると、申し訳ないがおかしくて仕方ない。