指輪を断つ

2018年04月29日 09時34分36秒 | コメディのかけら

一年前に家人が、
結婚指輪が指からはずれなくなり、
消防署に駆け込んでいたことを
昨夜突然、告白した。

家人はふだん、結婚指輪をしていない。
しかし去年の今ごろ、
しばらくアメリカに滞在することになった。
その時、結婚指輪をしていた方が面倒な事態を避けられると思い、
ひさしぶりに指輪をして旅立ったという。

そして一週間の旅を終え、
帰国して指輪をはずそうとしたら、はずれなかった。
現地の食事で指が太ってしまったのかもしれない。

次第に指がむくみ痛みを感じるようになった。
これ以上、我慢するのは危険だと思い、近所の消防署に電話をかけた。
「指輪がはずれなくなってしまったんです」
電話口の消防署員の対応は手慣れたものだったという。
どうやらこの手の電話はよくかかってくるようだ。

実際、指輪をはずす前に、
指輪を切断することを了承する署名をするのだが、
そこにはズラリと名前が並んでいた。
家人の前は高齢の女性だった。

指輪を切断するのに使うのはニッパーかと思っていたが、違った。
家人の説明ではその器具の形状がさっぱりわからないのだが、
ネジのような部分を回して、指輪を断ち切るらしい。

しかし、いざ始めてもなかなか切断できない。
困惑する消防署員。
別の署員に交代するが、やはりダメ。
気がつくと、家人のまわりには何人もの消防署員が集まっていた。

家人曰く、
「屈強な男たちに囲まれて、これは何のプレイなのと思った」




この一連の話を聞いて、僕は憤った。
そんなに面白いことをなんでずっと隠していたのか!