猫のたぬちゃん

2018年09月17日 11時10分19秒 | その他のかけら
その猫が我が家の玄関付近に来るようになったのは、
いつ頃からだろうか。

もこもとしたキジトラ。
のら猫にしてはやけに毛並みがきれいだったので、
飼い猫ではないかと思っていた。

しばしば姿を見せるので、
時々、キャットフードをあげるようになった。

家人が「たぬちゃん」と名付けた。

ところが、夏前から姿を見せなくなった。
どうしたんだろうか。
飼い主が引っ越したのか、
それともどこかで事故にでもあったのか。

しかし夏が終わる頃、
たぬちゃんは再び姿を現した。
もこもことしていた毛はすっかり抜け落ち。
やけにスマートになっていた。

もう1つ変わったところがある。
僕が近づくと「シャー」と威嚇してくるようになったのだ。

そのわりには毎晩のようにやってくる。

3日ほど前、その謎が解けた。

いつもはキャットフードをあげた後、
僕はすぐその場を立ち去るのだが、
その日は郵便物を確かめるために、
しばらく玄関先にいた。


するとたぬちゃんが玄関先から道端に移動した。
続いて聞こえてきたのは、子猫の声だ。

物陰から覗くと、たぬちゃんの周りには数匹の子猫がいた。

夏の間にお母さんになっていたのだ。

翌日の夜もたぬちゃんは来た。

キャットフードをあげると、
しばらく自分だけで食べている。
しかし僕が身を隠すと、
小さな声で鳴き、
その声に呼ばれて子猫たちが集まってくる。

4匹?5匹?

子どもたちがエサを食べている間、
たぬちゃんは背筋を伸ばして座っている。
見張っているのだ。

どうやらたぬちゃんはのら猫のようなので、
キャットフードをあげるという行為自体、
ちょっとどうなのかと思われる向きもあるだろうが、
とりあえず子猫が大きくなるまでは、
様子を見ていようと思う。