ある大学の演劇学科だったかの、
俳優志望の人たちの授業内容が興味深かった。
学食でもカフェでもいい、
人々が会話をしている場所に行き、
その会話を録音する。
そして、録音したものを書き起こす。
最後に、録音したものを聴きながら、
実際に喋っているのと同じ感じで、
書き起こしたものをセリフとして発する。
なるほど。
セリフを発する時の参考に、
他人の会話に耳を傾ける、
という話はしばしば聞く。
僕も隣の席の会話が聞こえてきて、
それが後々、何かの参考になったことは何度もあるし、
セリフを書く仕事が多かった時期には、
意識して耳を傾けたこともある。
そこからわかるのは、
我々は思っている以上に、
語順も脈絡も自由に話し、
それで会話が成り立っているということだ。
自然なセリフを書くことができる、
という評判の脚本家の書くセリフでさえ、
現実の会話と比べると、整理されている。
しかし、録音し、文字に書き起こす、
というところまで徹底してやるというのは初めて聞いた。
ここから学べることはたくさんあるだろうなあ。