熊澤良尊の将棋駒三昧

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肉筆書き駒と、盛上げ駒について、「その3」

2018-08-03 05:53:03 | 文章
8月3日(金)、晴れ。
今日も暑そうです。

今回は「盛上げ駒」の派生について、考えてみます。
「盛上げ駒」は、いつ頃、どうして生まれたのかです。
「盛上げ駒」が作られるようになったのは、明治時代中頃です。
それまでの駒は、「書き駒」でありました。

江戸時代、一般庶民に将棋愛好が広がって駒の需要が増えると、専門の職人が派生する訳ですが、
その頃には、水無瀬家などの能筆な公卿による駒づくりは途絶え、駒は専ら職人の手によって作られるようになります。
しかしそれら多くの職人には、能筆な公家のような品格ある文字は難しい。
ある者は「昔、能筆家の公卿が書いたような優美な駒文字が作れないか」と、考えたことでしょう。
そして、考え出されたのが「盛上げ駒」です。
優雅な昔の駒文字を印刷した紙を貼り付けて彫る。凹んだところに漆で埋めて平らにする。
それを頼りに漆で塗り絵のようにして書けば、古の水無瀬駒に近い文字を再現出来る、という工夫です。

120年ほど前の明治時代に、塗り絵のような職人技で考案された「盛上げ駒」なのですが、以来、これが最高の駒だとの評価がなされるようになって現在に至っています。

しかし、真の最高の駒は、昔、盛上げ駒のモデルとして使われた「水無瀬兼成卿のような能筆家が書いた肉筆の駒こそにある」と思うのです。














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