字母の話の続き。
駒づくりに欠かせない字母(字母紙)ですが、皆さんは、どのようなものを使っておられるのか、少し考えてみたい。
ですがその前に、字母紙を使わない駒づくりもあるということを、述べておかなくてはならない。
40年以上前、駒木地を買おうと、山形県天童市を訪れたとき、温泉街の土産物屋で見た駒彫りの実演。丁度その時は、彫り師が錦旗の銀将を山のように彫り続けていたのだが、私は思わず、店先に座り込んで2時間ぐらい駒を彫る様子に時間を忘れて見入った。銀将は楷書の文字。それを自母紙を貼らずに次々と彫り続けていた。字母紙を貼らなくても、何もない白木の木地に、次々「銀将」2文字を彫る。思わず時計を出して所要時間を計ると、2文字で45秒。そのスピードで彫り続けているさまを見て「さすがにプロの駒師(彫り師)だなあ」と、感嘆したものである。
そして、水無瀬神宮の400年前の駒。
作者は、水無瀬兼成。オリジナルの駒は、白木の木地に、漆筆で駒の文字を書いたものである。
そしてもう一つは、大阪の赤松駒権の駒彫り。これも、字母紙なしで略字はおろか、歩兵彫り(楷書文字の彫り)を見事に。これも熟練した職人の技なのだ。
ということで、駒づくりには、必ずしも字母紙がいるものでもないことを、申しあげておかねばならない。
今日は、この辺で。この続きは、また、明日にでも。
7月18日(土)、曇り。
今日は、字母の話。
字母は駒字の原型のこと。原型を印刷した字母紙を、駒木地に貼り付けてそれをなぞって彫ってゆくのは誰もがご存じかと思います。
ところで、この字母(字母紙)、駒づくりをする人は、どのようなものを使っておられるのだろうか。少し触れてみたい。
ここまで書いて時間が来ましたので、この続きは、また夜にでも。