ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

大使の料理番

2008-10-07 11:27:05 | 日記・エッセイ・コラム

一つ山を越えたところのK町から
夕べ古い友人が三人訪ねてきた。

ぼくのレストランによく集まっていた連中である。
三人とも農家の後継者、
まだ二十歳そこそこで農業への不安と悩みを抱えていたが
今ではもう立派なお父っあん。
O君はイチゴ栽培、H君はシイタケ栽培、
T君は皇室への献上米を作るほどに
それぞれしっかり生きている。
H君はケータイを開き孫の写真を見せてくれた。

少し前にもブログに載せたが
この頃、古い友が訪ねてくるという妙な現象が続いている。
レストランマロ時代の友人や
青年会議所時代の仲間が「やぁやぁ、30年ぶりです」 と。
ちょっと不思議に思うほどよく訪ねてくる。
最近になって大事な友人をつづけて三人亡くしたので
その心の隙間をはやく埋めよと
守護神さまが差し向けてくれるのかもしれない。

三人は、ぼくがすっかり忘れていることを想いださせてくれたり
スープカレーをおかわりしてくれたり
見事なシイタケやイチゴジャムと一緒に
ほのぼのとした元気を土産として置いていった。

   月日は百代の過客にして行きかふ年も又旅人也
                
 (奥の細道 序文)
そしてまた今朝は、ミャンマーにある日本大使館で
大使の料理番をしているK君が訪ねてきた。
ほんとうにどうにかなっているのかな・・・・
15年ほど前、ぼくのところでコック見習として働いていたが
その後、ヨーロッパ各地で修行を積み現在に至っている。
一週間の休暇をもらって一年ぶりの帰国。

ミャンマーの政治情勢やサイクロンの被害のあと
各国からの支援物資が、
最も必要とされるところに行渡っていない現状など
いろいろ教えてくれて、随分と逞しくなった。
あと5年ぐらい海外で修行し、その後は日本で店を持ちたいと言う。
ラグビー選手のように大きな体をしていて
礼儀正しく頼もしい青年である。


     
湯音忍ばせ蟲の世へ凭れけり