ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

愛の二重唱

2009-01-25 22:47:42 | 日記・エッセイ・コラム

詩誌『馴鹿』の新年会があった。
1時間弱、「詩人と宇宙」という茫漠なテーマで卓話したが
新会員も参加してくれて愉快な半日を過ごした。

夜、N響アワーで楽劇「トリスタンとイゾルデ」を聴く。
ワーグナーの指揮では第一人者のイルジー・コウト。
前奏曲は重苦しく
禁断の愛の鬱屈した様子がいらいらするほどつづくが
第二幕になると
   ああ、私のトリスタン!
   おお、ぼくのイゾルデ!

歓喜と恍惚の愛の二重唱が華麗に炸裂する。

   嫉妬深く意地悪な偽りの昼よ
   消え去れ!
   聖なる夜は唯一つ
   愛のよろこびが微笑みかける
   聖なる夜よ
   私たちをこの世から解き放っておくれ
   永遠に一つになり
   目覚めることなく愛に包まれ
   ただ愛にのみ生きるため!

遙かのむかし
こんな風に不安とよろこびの日々に包まれていた自分が
あったような、なかったような・・・・・・

冬の夜のひととき、
青春の残像に小さく炎が燃え上がるのを覚える。

それにしても、リンダ・ワトソンの熱唱がすばらしかった!

       
木々の間を夢紡ぎゐる冬の月