春は「風邪(ふうじゃ)」によるトラブルが出やすい時期です。
そんな季節に対する気功的対処法(養生法)は
このブログでも少しずつ書いています!
今回は、古代導引から風邪の対処法のご紹介です。
(気功家の津村喬さんから文章をお借りして紹介します)
風病の導引功
『諸病源候論』という八世紀の本があります。
あらゆる病気を分類して、病名を確定しようとした本です。
1400余りの病名が分類されました。
今の中医学にも継承された大事な仕事です。
その 『諸病源侯論』には、
鍼灸のツボよりも漢方薬よりも
「導引処方」がしてあります。
300近くの病気について、その病気になった時の
導引をして対処する方法が提案されています。
・・・・
ここに紹介するのは
『風病の導引功』の第一集です。
風邪、という言葉に残っているように
風熱、風湿などさまざまな風病があります。
今で言う風邪から関節炎までさまざまなニュアンスを
含んだものです。
導引は「ストレッチによって気を動かす」ことです。
ここには風にとりつかれた病気を治すための
ストレッチの方法が集められています。
①両手を前後に伸展する
立ったまま、左手を前に、右手を後に水平に突き出して、頭は前に倒して、両方の手をいっぱいに伸ばします。吸う息で伸ばして、吐いて両手を下に戻します。左右交互にします。
以下の動作は病気治しが目的なので、一動作27回とか21回とか繰り返します。健康な人が一般の導引としてやるには、4回とか8回とか決めてやればいいです。
②両手を左右に伸展する
立って、体を左にひねり、右手を左前方にいっぱいに伸ばします。左手も後に、右後方向になるべく水平に伸ばします。顔は左正面を向いて、少し頭が下がります。
吸って伸ばし、吐いて戻ります。左右交互にします。
③肩肘を上下させる
肩の「肩井」のポイント(肩の上に骨の間にあいている穴)に両方の中指をつけ、肘は左右から、息を吸った時に上げ、吐いた時に下げます。
もうひとつ、指を肩の後につけるようにし、両肘を前から挙げては降ろします。息を吸って持ち上げ、吐いて降ろします。
④合掌して地面を指す
胸前に合掌します。そのまま腕を真っ直ぐ前に伸ばして、合掌した親指を正面に突き出し、四本の指を地面に向けて、ストレッチします。吸って伸ばし、吐いて胸前の合掌に戻ります。
⑤後を力を入れて押す
掌で後に押して、肩を寄せます。息を吸って力を入れ、吐いてゆるめます。連続して、いったん両手を前方にもっていってから、脇の下に肘を引いて、やはり肩甲骨を寄せます。息を吸って引き、吐いてゆるめます。二動作を連続して行います。
⑥左右に弓を引く
左手を左に伸ばして、五本の指を一杯に伸ばします。右手は右肩の前で弓弦を引くように引っ張ります。吸って両側に引き、吐いておなかの前に降ろしてきます。左右交互にします。
⑦肩関節を伸ばす
右手を上に挙げて手首をそらし、いっぱいに伸ばします。左手で脇の下をつかみ、下に引っ張ります。吸って引っ張り、吐いてゆるめます。
肝臓のつまりをなくすということなので、もともとは右側しかしません。ほかの目的のためには左右とも伸ばして開ける動作があるようです。元気な人は左右やってかまわないと思います。
⑧肩をそびやかして首を縮める
両手はたらしたまま、肩を持ち上げます。吸う息で首を後に倒して、吐く息で真ん中に戻します。肩は挙げたままにしておきます。次の吸う息で首を左に倒して、吐く息でもどします。次に右側にし、最後に前に倒します。前に倒して起こすときに、ようやく肩をゆるめます。
こんな具合です。
誰でも知っている八段錦はこの三百年あとに
編集されたものです。
ここには、そのもとになった豊かな源泉があります。
とても簡単で、病気治しに使おうと思えば
27回とか36回とか繰り返します。