彼に逢いたい。
もうずいぶん逢ってない。
いっときは、京都に行くたびに逢いに行っていた。
京都駅についたとたん、歩くのももどかしく、人並みをかきわけるようにして、小走りになりながら急いだこともある。
彼の目を見つめていると、自分の進むべき道が見えたような気がした。
口元にうっすらと浮かぶほほえみは、私に生きる希望をくれた。
最後に逢ってからなんども逢いたいと思ったけれど、その時は何もかもがどん底で、実際には逢える自分じゃなかった。笑顔の曇った、そんな自分では逢いたくなかった。
でも、今、近くに来ているという。
それを知ってから、胸がざわついた。すぐにでも逢いにゆきたい・・・そう思いながら、どきどきした。
どうしよう。大丈夫か。
・・・よし。今日、逢いに行こう!!
そう決めて、向かいました。上野へ!!
そうです。彼は仏像界のアイドル、貴公子、東寺の「帝釈天さま」です♥
へへへ。ちょっと凝って書いてしまいました。
思い入れが有りすぎて書けなかった記事でございます。
行ったのは先月。浴衣を着物風に着て逢いに行った「彼」は、帝釈天さまでございました(^^;)
「京都で好きなお寺は?」・・・と尋ねられたら、そりゃあいっぱいあるけど、今思いつくのは、高山寺、光悦寺、そして、東寺です。
東寺って、京都に住んでるときは「弘法さん」毎月21日に開かれる大規模な縁日のお寺って印象で、特に好きとか思わなかったのですが、横浜に来てから京都に里帰りするついでにお寺をいろいろ見て回るようになって、はまってしまったところです。
何が好きって、いやもちろん帝釈天様がいらっしゃるからなんですが、講堂の立体曼荼羅がとにかくすごい。
入ったら仏像が二十一体もいらっしゃって、それも至近距離でお目にかかることができるのです。
もうほんとにものすごい迫力です。
そこで彼に一目惚れしたのはもう何年前だったでしょうか。何回か通ううちに、ついにお顔のアップのポスターまで買ってしまい、毎朝ご挨拶をしているのであります♥
今回はその帝釈天様を始め、東寺講堂からは梵天様など八体がいらっしゃっていて、周りをぐるっと回って拝見できるのです。
早く行きたかったのだけれど、ゆっくり見られる日をと考えていると、会期も半ばに差し掛かってきて、慌てて足を運んだのでした。
テレビの特集もあったし、お盆の少し後で休みの方も多いだろうし、と覚悟して行きましたが、混んでいますといいながら外までの行列はなく、わりと快適に観ることができました。
展示作品約100点のうち98.9%が国宝・重文というだけに、見ごたえがあります。
それに、これ、何も帝釈天様の展覧会じゃなくて、「空海と密教美術」ですもの。空海直筆の書を始め、東寺・神護寺、和歌山金剛峯寺などのお寺から密教美術品の数々の展示。本当に素晴らしかったです。
私は「血曼荼羅」と呼ばれる大きな曼荼羅図に、もっとも圧倒されました。
彼・・・帝釈天様には展示の後半でやっと逢えます。
縮小版の仏像曼荼羅の端の方にいらっしゃるお姿を見かけて、初めは遠くで拝見し、目の端で追いながら順番に見ていき、・・・やっと逢えました。
ぐるりと一周して、最後は正面からじーーっと。
なんか私、アヤシイ。でも、でも。やっと逢えたし。いいやん。・・・たぶん20分くらいはそこに居たと思います・・・。
久々にお逢いしましたけど、本当に凛々しいお姿。私もしっかり生きなければ。頑張ります!!・・・と、お話して帰ってまいりました。
トーハク(東京国立博物館)のウェブサイトでは、今回の仏像の人気投票が行われていますが、やはり帝釈天様がダントツ一位なのよね。
でも、二位の持国天様もかなりかっこいいなあ♥・・・と、今回魅力発見。
はぁ~。逢えてよかった。でも、まだ東京にいらっしゃるので、もう一度逢いに行くつもり。
見ごたえありの展示でしたが、でも、いつもトーハクで仏像の展示を見ると思うのですが、やはり絶対的にお寺で見るのとはちがっていて、いくら全方向から仏像を至近距離で見られても、あの荘厳さとかただ何かが迫ってくる感じとかには勝らない・・・そんな感じがするのです。
美術品としての鑑賞の仕方としてみれば、意義のあることなのだと思うのですが。
だから、空海が伝えたかった「曼荼羅」の世界を本当に体感したければ、やはり東寺に実際行ってみるのがいいと思います。
でも、でも、逢えてよかった(涙)♥
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2011年7月20日(水)~9月25日(日)
東京国立博物館 平成館 特別展示室
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おまけ 1089ブログがおもしろいよ。マニアックです。