仙人の好きな花、ホトトギスが咲いています。ユリ科の多年草で、あちこちで見かける日本の固有種です。山地の半日陰や湿り気のある所に咲き、地味ながらなぜか気を引く赤紫色の花、山道で見かけるクリーム色のタマガワホトトギスや、白色、黄色の園芸品種もありますが、やはりこの色が杜鵑草本来の色です。もっとも交雑が進んでいるようで、我が家でも株によって花の色が違っています。
「目に青葉山ほととぎす初鰹」と句にある、鳥のホトトギスと同じ名前ですが、名前の由来も花びらにある紫色の斑紋が鳥のホトトギスの胸の斑紋と似ていることから付けられたとされています。若葉にも油染みのような斑点があるので、ユテンソウ(油点草)ともいいますが、それが鳥の胸の模様に似ているという説もあります。なお、葉の斑点は花がさく頃には消えています。
鳥のホトトギスの方は(不如帰)、(杜鵑)、(時鳥)、(子規)、(杜宇)などいろんな書き方があります。
墓の辺や風あれば揺れ杜鵑草 河野友人
朝よりも昼の暗さの時鳥草 後藤比奈夫
林中に雨の音満つ油点草 清崎敏郎