顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

蔓延る野草…繁殖力でわが世の秋

2021年09月21日 | 季節の花
秋は、強い繁殖力で嫌われている植物がとくに目に付くような気がします。
いずれも可愛い花が咲きますが、どうしようもない厄介者になっている植物もあります。

北米原産のアレチウリ(荒れ地瓜)は、名前の通りどんな所にも南瓜のような大きな葉を広げて繁殖し、「特定外来生物」にも指定されています。

負けずに大きな葉で一面を覆ってしまうクズ(葛)の花、塀や廃屋をあっという間に隠してしまいます。若い葉は天ぷらで食べますが、花も美味とか…、みんなが競って食べると少しは減るでしょうか??

稲作の邪魔者のチョウジタデ(丁字蓼)、別名タゴボウ(田牛蒡)は在来種の雑草ですが、花弁が4枚でよく似た外来種アメリカミズキンバイ(水金梅)、別名ヒレタゴボウ(鰭田牛蒡)は驚異的な繁殖力で、琵琶湖ではその駆除に年間3億円以上の税金が投入されているそうです。(幸いなことに仙人の守備範囲ではその写真を撮ることができませんでした)

それほど嫌われていなくても繁殖力の強いキクイモ(菊芋)は、北米原産で世界中に広がっています。芋のような塊茎は食用になり、血糖値、血圧を抑制する健康食品として最近注目を集めているそうです。

名前からしてヤブカラシ(藪枯らし)、藪までも覆いかぶさって枯らしてしまうほど蔓を伸ばして繁茂します。

オオニシキソウ(大錦草・大二色草)の名は、在来種のニシキソウの茎の赤と葉の緑から命名された「二色草」が、「錦草」と誤記されといわれ、北米原産のこの渡来種にはその大きさから「大」の名前が付きました。

ハワイ出身の元力士?… コニシキソウ(小錦草)は、明治中期に渡来した北米原産の「小さい」錦草で、地面にぴったりと貼りついた様子はいたるところで眼にします。 

ワルナスビ(悪茄子)は牧野富太郎博士の命名通り、駆除の困難な雑草で、1cm以下の茎の断片からも再生する繁殖力、茎葉に棘を、実には毒を持つナス科最悪の植物です。

気分を変えて、たった一輪のノギクハナグモ…ノギクは多分カントウヨメナ(関東嫁菜)、ハナグモ(花蜘蛛)は花に棲み花に集まる虫を捕食する、うらやましい蜘蛛です。

そういえばコロナ禍の徒然に、図書館から「独り群せず」という北方謙三の本を借りました。(現在は図書館までも休館中ですが…)

足元に日のおちかかる野菊かな  一茶
別れ来て淋しさに折る野菊かな  尾崎放哉
心急き歩みおくるゝ野菊濃し  星野立子