ゆきんこブログ

月刊ガソリンスタンド誌
『変化と試練が、人と企業を強くする』
連載中!

ちょっとだけお勉強

2007年10月16日 09時26分23秒 | Weblog
本日の日本経済新聞の経済欄に米国における原油価格高騰と販売市況パターンが例年とは異なった不思議な動きをしているとの記事。

当面の動きについて解き明かす説がないと結んでいます。

WTI という言葉は石油業界ではよく聞かれます。調べてみると
【West Texas Intermediate】:ウェストテキサス インターミディエート(西部テキサス原油。アメリカが産出する代表的原油で世界の原油市況の指標となる。)ということですが、

今回の値動きは需給なのか、ファンドの動きなのかはたまたオイルマネーなのかが分からないようです。

結論からいえばアメリカのマーケットでも分からないことですから、石油資源がなくてほとんどを輸入に頼る日本でわかるはずもないということなのでしょう。
これが予測できたら、世界有数の経済通ということになるわけですが、難しい話です。

日本国内では、出光興産の決算予測で「営業益20%減・・今期原油高の価格転嫁進まず」の記事。

石油業界は産油国からメジャー、元売り、特約店、販売店まで、そして商社系から業転業界まで裾野が広くてそれぞれのポジションも異なりますから、見解もいろいろですが、とにかく当面は値上げ基調にあるということなのでしょう。

日本国内の販売業界などはまるで台風の中の波間に漂う小舟のような状態ですね、それでもリテール販売業界では競争激化で安売り競争をしているわけですから大変です。しかし当座の経営課題を考慮すれば売り負けるということは淘汰されることを意味しますから仕方がない事なのかもしれません。

上げもあれば、下げもあるわけですが、今後も今までのようなパターンが繰り返される保証はないわけで、一部では高止まり傾向になるという見解もあります。

こうなると、価格に頼る販売戦略には限界が出てくるような気がします。
これからは供給側(元売や商社)がマーケットをリードする時代になるのかもしれません。独立系はよほどの経済力と流通機能を保有しなければ生き残りが難しい時代になるようです。

私も昔は小規模ながらオイルターミナルをつくり10台以上のトレーラーローリーを保有して、和製ジョバーを気取っていた時期もありました。本音のことを言えばいろいろな意味で「締め付け」が厳しかったですね、日本のビジネス風土では暴れん坊はあまり認知されません。元売りにとって優等生が優遇されるのが石油業界なのです。

しかし、本音ではそんな業界の古い体質に迎合することなく自主的な経営を維持することが大切だとも思います。

難しい時代になりました。

朝の新聞を読みながら、ちょっと考え込んでいます。

付加価値販売のポイント

2007年10月16日 05時49分49秒 | Weblog
セルフSSの店頭で販売されるガソリン100㌔と配送灯油の100㌔の収益のどちらが粗利益が高いでしょうか?

品質格差のない石油製品をサービス格差のないセルフSSというビジネスフォームで拡販するとしたら当然のことながら価格戦略が中心となるはずです。

消費者からみるとセルフという業態はSS業界が自らSS店頭サービスを放棄したということになります。
この事をよく考えてみると、今までのフルサービスSSでは消費者があまり必要としないサービスや油外販売まで無理を周知で販売していたと認めたことにもなるのでしよう。

安定した油外収益が安定確保できればSS経営も結構なビジネスですね。
しかし、キャンペーンと銘打って店頭で煩いほどの無理押し販売を行うような身勝手な商売をしているSSはさすがに少なくなりました。SSの成長期では車を所有している消費者はある程度富裕層でしたが、現在では車自体が普及して消費者ニーズも多様化してきました。車自体の性能も良くなっていますしカーディラーのアフターサービスも充実してきましたからSSでのサービスは「洗車」程度になってしまったともいえます。

そういえば、凄い収益を挙げている優秀SSでは、決して無理押し販売をせずに季節や地域に合ったサービスをスマートにタイムリーにそしてさりげなく進めていました。まるでそれぞれのお客様の性格やニーズまでを知り尽くしているホテルマンのような質の高いサービスを展開していました。感心したものです。

しかし、こんな高度のフィールドサービスを行うには相当熟練したベテランスタッフが必要だと感じました。アルバイトスタッフなどではとても不可能です。

SSのセルフ化はこんなジレンマに悩む石油業界が自ら難しい店頭販売サービスを放棄して安易な拡販手法を選択した結果のビジネス手法だと思います。

灯油販売でも「店頭販売」であれば同じことです。消費者は自らポリ缶をぶら下げて自分で給油して車が汚れないように注意しながら思いポリ缶をぶら下げてまた帰っていきます。車自体に給油するガソリンであればSSまでいかなければ給油できないわけですが、同じ石油製品でありながら灯油はホームエネルギーですから当然商品特性が全く異なります。

灯油を使用する消費者は戸建でホームタンクまで設置しているケースが多いわけでポリ缶購入の客層とは異なる場合も多いわけです。配送灯油はドアツードアのビジネスですから「宅配」を切り口にしてのビジネスアイデアも拡大しています。

なにより、適正な配送コストが転化できるようになったことは付加価値販売の可能性が高まっているわけです。たとえばSS業界で夏場の「水」やデイケア用品などの定期的な宅配販売が増えているのは富裕層をターゲットとする新たな宅配ビジネスが定着しつつあることを明示しています。

「雪ん子」は夏場には「天然水」などの宅配システムとして運用できる機能まで保有していますから、季節コスト負担が克服されています。

その他いろいろな新たなビジネスモデルの模索を重ねていますが、SSを起点とする新たなビジネスモデルの開発は無限だと感じています。

CTIを設置してお客様サービスをめざす「コールセンター」設置やインターネットを利用してのWEB受注体制、さらには携帯電話による発注システム。
ポイントカードも不要なリアルタイムなポイント管理などにより、付加価値販売の可能性が高まります。

石油ビジネスの「時代」はすでにSSフィールドを飛び出しているようです。
付加価値販売とサービスの工夫によりSSビジネスの可能性は新しい消費者ニーズ対応の時代に突入したと確信しています。